口腔粘膜の病変について(2)細菌感染症
これまでに述べてきたように口腔内には腸内菌に匹敵するような数百種類の常在菌がいて、腸内と同じく細菌叢(フローラ)を形成しています。この口腔内の常在菌である歯周病原因菌による歯周疾患では、口腔粘膜に潰瘍を形成することがあります。
また顎放線菌症は口腔内に常在する放線菌族細菌の感染症であり、外傷や抜歯後、通常の炎症が更に酷くなって発症することがあります。20歳代から50歳代までの男性に多く見られ、口腔内の潰瘍や創傷から口腔底に炎症が波及し、下顎角部(所謂エラとのとろ)に腫脹が発生し、同部位の硬結を経て膿瘍を形成するので、消炎のために口腔外の切開を行いゴムドレーンによる排膿を行うことがあります。(ただしこの様な場合は口腔外科での処置となります。)
さらに口腔を侵入経路とした病原性細菌の感染もあり、風邪から来る上気道感染の際には、口腔内に特有な症状が出ることもあります。抵抗力の衰えた小児や成人のA群β溶血性連鎖球菌咽頭炎は,潜伏期は一般に2~4日で突然の発熱・咽頭の痛みで始まり、咽頭は赤く腫れ扁桃の腫脹を伴います。以前の例ですが、最初奥歯周囲の炎症を主訴に当院を受診され、その後私の勧めですぐに掛かりつけ内科医を受診、咽頭部の細菌検査でA群β溶血性連鎖球菌と確認されたことがありました。
また口角炎はカンジダやストレプトコッカスが原因とされ、口腔内が不潔な環境にある人や総入れ歯で噛み合わせが低い老人に起こることがあります。またビタミンB2欠乏、貧血、糖尿病、胃腸障害など全身疾患の際にも同様の口角潰瘍が見られます。