口腔粘膜の病変について(1)
2008.11.1
口腔は消化器官の入り口を成し、飲食物による物理的・化学的刺激にさらされやすく、その刺激に耐えられるように、最も外界に近い層は重層扁平上皮というものにより覆われ、まるで皮膚のような組織構造を呈しています。(熱い湯豆腐や激辛のカレーを食べたときの事を考えてみてください。ペロッと薄皮が剥がれることがあるでしょう?)
また口腔内に開口部がある唾液腺から排出される唾液には、消化機能を有するだけでなく、重層扁平上皮を保護する機能をあわせ持ち、咀嚼・嚥下という生命の維持に必要な重要な器官を守っています。同時にその唾液腺に起こった様々な機能障害が口腔粘膜に現れ、多様な病変が現れます。
また重層扁平上皮を貫くように植立する歯牙には、口腔内の環境に影響され様々なトラブルが発生し、結果そのトラブルが口腔粘膜に波及することもあります。
このような口腔粘膜疾患を診断する上で大切なことは、その病変が口腔内固有のものであるのか、全身症状の一つとして口腔内に現れたものであるのかを鑑別することです。