ストレスと口腔(3)顎関節症
顎関節症とは、顎関節部が痛かったり、口を開いたり閉じたりする時に顎関節部にパキパキとかゴリゴリとした雑音が生じたり、口が開かないまたはまっすぐに開かない、などの異常顎運動を単独にまたは併発して経過する、非感染性で顕著な炎症病態を欠く症候群の総称を言います。顎関節症が発症する原因は単独ではなく、多くの因子が複雑に絡み合った疾患です。従って自覚症状が出現するようになるまでには、原因となるいくつかの因子が単独、あるいは相互に作用しあって、病的レベルが徐々に高まり、一定の要件(個体差があります)を満たすと前述したような顕著な症状が発現することになります。
しかし例えば長時間ガムを噛み続けたり、アワビやスルメ、フランスパンなどの噛み応えの有る食品を食べた時などに、一時的に顎が痛くなることがありますが、厳密に言えばこれらは顎関節症とは言えません。日本顎関節学会では、顎関節症をその病態でⅠ型からⅤ型まで分類をしており、治療にはその病態に応じて様々な方法が存在します。また最近では顎関節症を誘発する要因として、ストレスによる歯軋り・食い縛り、噛み合わせのズレを生むような習癖(頬杖を付く、寝る際にどちらか一方を下にする、うつぶせ寝など)などが注目されてきています。
治療を担当する分野としては、歯科領域(歯科・口腔外科)のほか整形外科がありますが、事故や外傷などによる顎関節の器質的障害がなく、噛み合わせが原因の主たるものである場合は、歯科領域への受診をお勧めします。但し心因性の問題がある場合は、精神神経領域への併診をお勧めする場合が有ります。