ストレスと口腔(2)
2008.4.1
歯科領域においては、ストレスが少なくとも発症の要因の一つとされている疾患が多数あります。例えば虫歯においては、口腔内の環境を左右する唾液の量や性状が、ストレスによって変化し、虫歯発症の引き金の一つとなります。
また歯周疾患では歯周病原因菌の感染により、局所内生体反応において身体に発生したストレスが免疫力を低下させることは知られています。また歯周病発症の原因の一つとされる力学的要因に大きく関わる歯軋りは、少なからずストレスに関与していることが知られています。このほか顎関節症やドライマウス、口臭や舌痛症、味覚異常などもストレスがその原因の一端となっています。
歯軋りとは「咀嚼筋群が何らかの理由で異常に緊張して下顎が非機能的に動き、上下の歯牙を無意識にこすり合わせたり、くいしばったり、連続的に歯をカチカチ噛み合わせること」と定義されています。歯軋りは歯牙の咬耗、歯牙の破折、修復物の破損、歯牙の楔状欠損を伴う知覚過敏症、咬合性外傷、顎関節症、軟組織の圧痕など、日常臨床で顎・口腔系に現れる諸症状から診断されることが多いものです。