今こそ口腸免疫健康法を取り入れよう!~その3~
一方、口腸免疫健康法のうち口内免疫をアップさせる方法を考えましょう。当院で患者さんにおすすめしている「生源」というサプリメントは、大豆タンパクを培地にして16種類の乳酸菌をはじめとする有用菌を共棲培養し、その結果産生された有効産物を用いています。この生源は大腸内で、液性免疫物質であるIgA抗体を産生することが、ラットを使った実験で明らかになっています。IgA抗体は腸管の他、体の粘膜部分すべてで分泌されていて、喉の奥や鼻粘膜でも分泌されています。喉の奥にはワルダイエルの口峡輪と呼ばれる扁桃組織があり、気管や食道などに異物や病原性細菌・ウイルスなどが進入しないよう咽頭扁桃・口蓋扁桃・舌扁桃などが、環状の関門を作ってIgA抗体を分泌しています。ところが、せっかく腸内免疫を向上させる生源などの物質を摂取してIgA抗体の産生が増加しても、口呼吸によってワルダイエルの口峡輪の粘膜が乾燥すれば、免疫物質であるIgA抗体は分泌されず、本来の役割を果たせなくなってしまいます。従って普段から口呼吸ではなく鼻呼吸を行うことが重要となります。
また唾液の分泌を盛んにさせることも健康にとって必要なことです。唾液は自律神経のうち副交感神経が優位になると沢山唾液腺から分泌されます。ところが交感神経が優位になると唾液の分泌は減少します。「固唾を飲んで~」という表現は「固い唾」と書きますが、
これは文字通り緊張で喉がカラカラになることを言います。居眠りするときはよだれが出ますよね。「固唾を飲んで居眠りした」なんてことはありません。緊張した状態で治療を受けると、痛みを感じやすくなります。そこで当院ではリラックス指導として、呼吸法の指導をさせていただくことがあります。治療への恐怖や不安で体が縮こまってる患者さんには、まずは背中をまっすぐに伸ばしていただきます。そして手を上向きに開いて、深くゆっくりした呼吸を繰り返していただきます。こうした呼吸指導によって体から過度の緊張がとれると、心も落ち着き、心身ともにリラックスした状態になります。東洋医学では「調身・調息・調心」と言い、「身を整え、息を整えると、心が整う」という意味で、仏教用語でもあります。リラックス下においては、痛みに対する感度も柔らかくなりますし、免疫力も上がります。日頃から深い鼻呼吸の習慣をつけておくと良いと思います。更に唾液の分泌を促進させるためには食物繊維が多い食事をとることでよく噛む習慣が付き、同時に歯の汚れも食物繊維自体で取れることから一石二鳥です。いや、先月述べたT-レグ細胞を増やすための酪酸菌の餌にもなりますから一石三鳥です。
(写真は座禅で調身・調息・調心の状態を作り出していると思われる安倍首相~Twitterより)