今こそ口腸免疫健康法を取り入れよう!~その4~
前回には口腸免疫健康法のうち口内免疫について述べました。主に唾液や喉の奥に含まれるIgA抗体の産生には、乳酸菌や乳酸菌代謝産物(乳酸菌生産物質)の摂取が欠かせないということです。またP.g.菌(Porphyromonas gingivalis)などの歯周病菌はインフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくするたんぱく酵素(プロテアーゼやノイラミニダーゼ)を出します。また、歯周病菌由来の酵素は抗ウイルス薬で抑制できないため、口腔内を不潔にしておくとインフルエンザ感染を助長されることが知られています。特に免疫力の弱い高齢者は、インフルエンザが重症化する可能性があります。口腔内を不潔にしておくとインフルエンザに罹患しやすいという事実は、小学校の歯科検診や老人保健施設でのデータから明らかになっています。
インフルエンザウイルスも今回の新型コロナウイルスも、ウイルスは核酸という遺伝子をタンパク質の保護膜にカプセライズ(新型コロナウイルスはエンベロープというタンパクに包まれています)された構造(=カプシド)になっています。口腔内や腸管内の細菌にはプロテアーゼという蛋白質分解酵素があります。口腔内環境が悪いと口腔内に存在する他種多数の細菌が有するプロテアーゼと、ウイルスのカプシドや例えばエンベロープが接触し、その結果インフルエンザウイルスなどのウイルスのカプシドやエンベロープがタンパク分解酵素により分解されてウイルス本体が活性化され、ウイルスが口腔粘膜から侵入するのではと考えられています。鼻粘膜の奥の方だけでなく唾液中にもウイルスが存在するからこそ、くしゃみや大声などで飛び散った飛沫から感染する訳です。
歯周病菌は歯の表面に付着した歯垢(プラーク)や歯周ポケット内に存在しますので、的確な口腔清掃を行うことは歯周病のみならずインフルエンザ等のウイルス感染症の予防にも繋がりますので、しっかり歯磨き習慣を付けましょう。