歯軋り、喰いしばり、そして氷食症?(1)
最近立て続けに歯軋り喰いしばりが原因と思われる、被せ物の異常な磨り減り、被せ物の頻回な脱離、歯根の破折、の患者さんが来院しました。Aさんは68歳の女性で、お子さんが巣立った後ご主人との二人暮らしで、週に3回ほどスーパーのパートに出ておられる方です。主訴は歯が染みるとのことで来院されました。口腔内を診てみると虫歯ではないものの、歯の表面(咬合面)エナメル質がすり減り象牙質が露出している状態でした。ご本人は自覚が無いものの、ご主人から寝ている時に歯軋りをしていると指摘をされているとのことです。
Bさんは32歳の独身の女性です。下の奥歯に被せている他院作製の金属の被せ物が、取れては付け直すことを何回も繰り返したため、当院で新たに作製し装着した方です。半年後同じ詰め物が取れて再来院しました。脱離した被せ物を見るとセットしてから半年しか経過していないのに、金属が擦れて摩耗している状態でした。
Cさんは50歳の女性です。寝ていた時に突然の猛烈な痛みで目が覚めそれ以来痛みが取れず、上下の歯を合わせることも出来ない程で朝食も食べることも出来ずに朝一番で来院されました。口腔内を診たところ下顎右側第二小臼歯が割れており、レントゲンでも根の破折が確認できたので、後日抜歯となりました。
三人共に歯軋り・喰いしばりがあるか、どのような食習慣があるか問診をしたところ、共通していたのは冷蔵庫の氷をバリバリと食べる習癖がある事でした。確かに今年は暑い夏でしたから冷たい食べ物を摂ることは十分あり得ますが、三人とも一年中食べているとのことでした。また特に日中ストレスを感じる事があり、その日の夜帰宅すると同時に冷蔵庫に直行し氷を口に放り込み、バリバリと噛んでいるとの話もありました。