ホームケア2~歯ブラシについて~
我が国の最初の歯ブラシは、菩堤樹の木片の先端をかみ砕いて房状にしたものでしたが、高貴な人やお寺の僧などの一部の人が使用していました。清掃用具として民衆に広がった歯木は、房楊枝または楊枝と呼ばれ、江戸時代に入ると房楊枝や爪楊枝を売る専門店「楊枝屋」も登場し、広く一般に普及しました。
現在では多種な歯ブラシが販売されているますが、誰にでも簡単に歯垢が取れる、電動歯ブラシについて触れてみたいと思います。EBM(Evidence-based Medicine)という言葉が使われるようになってから、だいぶ時間が経過しましたがこのEBMを検証する世界的機関としてコクランレポートがあります。コクラン共同計画(The Cochrane Collaboration以後、CCと略)は、1992年にイギリスの国民保健サービスの一環として始まり、現在世界的に急速に展開している医療テクノロジーアセスメントのプロジェクトです。
無作為化比較試験(RCT)を中心に、世界中のclinical trialのシステマティック・レビュー (systematic review; 収集し、質評価を行い、統計学的に統合する)を行い、その結果を、医療関係者や医療政策決定者、さらには消費者に届け、合理的な意思決定に供することを目的としています。EBMの情報インフラストラクチャーと位置付けられています。
歯科医療の世界でもこのEBMが転じた、EBD(Evidence-based Dentistry)が必要とされており,電動歯ブラシとて例外ではありません。現在日本では電動歯ブラシとして、三次元音波振動性のカップ型歯ブラシ(ブラウン)、リニア振動型音波歯ブラシ(20~2万Hz、フィリップスなど)、超音波歯ブラシ(1,6MHz、東レアイリーブ)などが販売されています。
私が推奨するブラウンOral-B電動歯ブラシは、2003年と2005年の2回コクラン共同計画において、もっとも優れた歯ブラシであると認定されました。そのコクランレポートによると、①電動歯ブラシは手用歯ブラシによる手磨きに比べ、歯垢、歯肉炎、歯肉からの出血などの口腔内のトラブルを改善すること、②反復回転振動式電動歯ブラシは、手磨き歯ブラシに比べ、効果的に歯垢を除去し、歯肉炎を改善することが判明しました。