その他のプロケアについて
● スケーリング
歯石(dental calculus)はデンタルプラークが石灰化したもので、無機質が約90%、有機質が約10%で、主成分はリン酸カルシウムです。歯肉縁より上にあるものを歯肉縁上歯石といい、臨床的には歯と同じ色調をしており比較的柔らかく除去しやすいことが多いです。また歯肉縁より下にあるものを歯肉縁下歯石といい、臨床的には黒褐色のかなり硬いもので除去は簡単ではありません。粗造な面を有する歯石が一旦沈着すると、さらにデンタルプラークが付着しやすくなり、口腔環境が悪化し歯肉炎・歯周炎などの歯周病が憎悪することになります。歯石除去すなわちスケーリングは歯科医院で行いますが、基本的には歯石をつけないために、またプラークの磨き残しのないようなブラッシングの徹底が必要となります。歯石除去の方法としては、歯科医師または歯科衛生士がスケーラーやキュレットを使用して行う手用スケーリングと、超音波スケーラーで超音波を発生させ、水の泡がはじけ飛ぶ力(バブリング)を利用し歯石を除去する、機械的スケーリングとがあります。
● 歯周病リスク診断
遺伝子解析を基にした歯周病発症前診断技術はまだ確立されておらず、開業医レベルでの応用はかなりに先になるかと思われます。三代に渡るような家族を治療するような歯科医であれば、歯周病には罹りやすい体質がありそれが遺伝的要因によることを経験的に知っていますが、残念ながら体系付けはできていません。しかし東洋医学ことに中医学を歯科診療に取り入れている私の診療室では、東洋医学的な体質診断として、患者さんの体質を「気」「血」「水」「熱」の4要素を、各々過剰と不足に分けた8分類で診断し、歯周病をはじめとした口腔内疾患のリスク判定に応用し、成果を挙げています。