歯周病と血管、呼吸器系の疾病
動脈硬化を起こした歯周病の患者さんは、血中コレステロールの値が高く、虚血性心疾患、脳梗塞などになりやすいということが疫学的に知られています。同時にこれらに対し歯周病治療を行うと、血中コレステロールの値が下がることも分かってきました。更に動脈硬化を起こした場所からプロフィロモナス・ジンジバリスという歯周病菌が検出されたことから、両者には相関があるものと考えられています。発症機序としては、歯周病菌によって活性化されたマクロファージが、動脈の血管内壁に付着しそこから血管内皮に侵入しサイトカインや化学伝達物質を産生し、血管内皮へのコレステロール沈着を促進し、血管の狭窄を起こすものとされています。
また高齢者のおよそ70%が嚥下反射ならびに咳反射の低下のために、異物が気道を通過しても咳が起きない不顕性の誤嚥を起こしているといわれています。この誤嚥により唾液に混じった口腔内バイオフィルム形成病原性細菌は、下気道に流入しても肺胞内のマクロファージになどに攻撃されず、そこで増殖することから誤嚥性の肺炎の原因となります。誤嚥性肺炎の予防法としては、①摂食嚥下訓練、②薬物療法、③外科療法、④口腔ケアー、⑤舌根沈下を防ぐ口腔筋機能療法などがあり、当院では口腔ケアーとしてブラウンの電動ブラシを、口腔筋機能療法用具としてパタカラを推奨しています。