歯周病のリスク
歯周病発症のリスクに関連する因子は、歯周病の発症および進行を規定あるいは関連する因子であり、病原性因子、遺伝子因子、環境因子から成り立っています。歯周病原性因子としては、歯周ポケット内に存在する歯周病原性細菌が挙げられ、これら病原性細菌の除去を目的として口腔内環境の改善を図る口腔ケアが、大変重要なこととなります。また歯周病の発症・進行において48~53%は個人の遺伝的支配を受けていると報告されています。
環境因子としては、喫煙やストレス、昼夜逆転や睡眠不足にみられる不規則な生活、食生活など現代特有な問題も挙げられます。なかでも心理的肉体的に生体に発生したストレスは自律神経系に作用し、各種交感・副交感神経作用物質が分泌されると、生体免疫細胞である多形核白血球、マクロファージ、リンパ球に作用して免疫応答を遅らせ、生体防御能を低下させることがわかっています。
また今後ヒトゲノムの遺伝子解析の研究が進めば発症前診断として利用でき、体質のリスク度に応じた病原性因子ならびに環境因子の改善に役立つこととなるでしょう。しかし遺伝子解析を基にした歯周病発症前診断技術の確立は現在まだ一般的ではなく、開業医レベルでは恐らく今後10年ほどの時間を要するため、筆者の診療室では体質のリスク診断として、仙頭クリニックの仙頭正四郎先生の「東洋医学的体質診断」を参考にし、私なりに歯科的に改変し応用しています。