第233回 歯科校医を退任しまた その1
今から10年前に二つの小学校と一つの中学校の三校が統合され、区初の区立小中一貫校となりました。私はその一つの小学校の歯科校医であった亡き父が、30年以上就任した歯科校医を病気の為退任したことで2005年から跡を継ぎ、その後小中一貫校となった今日まで17年間小学校の歯科保健に微力ながら関わって来ましたが先月一杯で退任しました。前身の小学校時代は最後の数年間が全校生徒100名いるかいないかの小規模校でしたので、歯科健診はもちろんのこと保健の授業で各学年歯科保健の授業をすることが出来ました。小中一貫校になってからは当初数年授業の時間を頂いて歯科保健の話を子供たちにすることが出来ましたが、この小中一貫校の人気が出てきて生徒数が増えたことにより、カリキュラムの関係でなかなか時間を頂けず、またここ数年のコロナ禍が重なり歯科の重要性を直接子供たちに話すことが出来なかったのは大変残念なことでありました。
任期中の17年間にわたり子供たちの口の中を見てきて、特に入学してきた新一年生の口腔状態から小学校入学までの家庭における健康教育が如何に大切であるか、またその状態が小学校卒業まで続くかをつぶさに見てきました。このことは私が現在担当している区保健所の専門相談を訪れた歯が生えた6か月過ぎから5~6歳ぐらいまでのお子さんのお母さんをはじめとする保護者の方へ、口を酸っぱくして説明してきました。「入学してきた子供たちの口の中を見ると家庭が見えますよ、今から頑張って歯磨きを通してお子さんの躾をしてくださいね」と。
最近の研究で夜10時過ぎに寝るお子さんは日中落ち着きがなく、AD/HD(注意欠陥/多動性障害)と見誤る可能性があるということが明らかになりました。また朝ご飯を食べないと低体温となり学校に行ってもボーっとしていることが多いとの研究もあります。また朝ご飯を食べないことで排便反射が起きず、学校では大便をしにくいことから便秘症になる子供が多いとも言われています。もちろん朝ご飯を食べたら磨くことも忘れずに必要です。是非ご家庭でお子さんに「早寝・早起き・朝ごはん」に加え「朝の歯磨きと排便」の5つの習慣を付けさせて頂くと、元気な体で学校に通える健康体が作れるのではないかと思います。