第236回 腎虚と補腎その2~ヘルシーエイジングのために~
東洋医学である中医学では、人にはそれぞれ生まれ持った体質(先天の氣)があり、その判断の決定要素として「気」「血」「水」に加え、私は20年程前に仙頭征四郎先生の「読体術」のセミナーを受けて以来、さらに「熱」を加えた四要素で体質を判断しています。そしてそれらには「虚実」と「陰陽」という概念が絡みあってきます。「虚」とは決定要素それぞれが不足している状態、「実」とは有り余っている状態を指します。また「陰」では緩慢な状態を、「陽」は活発な状態を指します。
当院で行う東洋医学的体質診断は、患者さん自身の先天的な体質(先天の氣)や生後の成長を通じて得られた現在の体質(後天の氣、時として変化)を知っていただくことで、本来の自分の健康を取り戻すためにはどのようにしたら良いのかを考えていただき、さらに体質ごとの歯科治療の参考にするものです。その体質を決定する為には「気」「血」「熱」「水」の4つのキーワードから各々の過不足(実と虚)により、気は「気滞」及び「脾虚」、血は「血瘀」及び「血虚」、熱は「湿熱」及び「腎陽虚」、「水」は「湿痰」及び「陰虚」と分類されます。(仙頭正四郎先生の分類による)
しかし個人は複数の体質を持っておいることがあり、診断時には特徴的な現在の性質として挙げただけですから、この体質診断がすべてにおいて現在の状況に当てはまる訳ではありません。当院での東洋医学的体質診断は、持って生まれた体質(先天の氣)と現在の体質(後天の氣)を鑑別します。そしてそこで得られた体質診断をもとに歯科疾患の原因を探っていくことになります。