歯科疾患の原因は?(3)
2006.8.1
口も体の一部です。口だけ独立した器官であり、身体の各部と連携はしていない、という考えは大きな間違いです。今まで述べてきたように、身体の各部は密接に関連していて、口腔から全身に影響が出る場合と全身から口腔に影響が出る場合とがあります。
そのような観点から、歯科医院においては患者さんが生活習慣病に罹患しているのであれば、医科と連携しそれを治すように指導・教育することが大切です。また数値では異常ではないがかなりギリギリといった、病気の一歩手前(東洋医学では“未病”と言う)の状態であれば、その前兆を感じ取り(東洋医学では“身体の声を聴く”という有名な言葉がある)病気にならないよう用心させる様指導することも大切です。
健康から未病を経て病気に移行する上で、人間の身体は様々なシグナルを発する。本来動物である人間の持っていた身体の声を聴く能力は、文明が発達し生活の便利さを得ることと引き替えに徐々に失われてきました。同時に自らの身体を癒す自然治癒力も失われてきてしまったのです。今ここで我々が享受している現代文明の弱点を反省し、西洋医学の利点は生かしつつ東洋医学的思考を生活に取り入れていくことこそ、21世紀の健康法であると私は考えています。