歯科疾患の原因は?(2)
病因論から疾病を考えてみると、東洋医学では病気の根本は人体の中にあるとされており(内因)、ウィルスや病原性細菌が疾病の原因であるとする(外因)西洋医学とは大きく異なります。これを先月述べた歯科疾患の原因にあてはめてみると、一番目の原因菌の増殖を押さえることならびに、二番目の噛み合せを直すことは西洋医学であるところの歯科医学で治療を行います。しかし三番目の原因であるところの全身状態から来るもの(生活習慣要因)に対しては、疾病の内因に迫り患者の自然治癒力を引き出すことによって解決する、東洋医学をはじめとする代替・統合医療を歯科治療に応用することが、現代社会において最も適した治療法であると私は考えています。
口の中の健康を保つためにはとにかく歯を磨くことが大事とばかり、一生懸命歯を磨いても、すぐ虫歯になったり歯周病がなかなか治らないという悩みをよく聞きます。確かに『歯を磨いている』と『歯が磨けている』は大きく異なります。しかし朝から晩まで常に百点満点の歯磨きをするために、一日を過ごすのは大変気が重く容易なことではありません。人間は歯を磨くためだけに生きているのではなく、生きるために歯を磨いているはずです。
ではどうしたら齲蝕や歯周病は解決するのでしょうか。その答えは簡単です。口腔の清掃をおこたることなく満点でなくても合格点以上の歯磨きをし(そのためには歯科医院で歯科医師または歯科衛生士に正しいブラッシング指導を受けるべきであるし、また誰でも効率よく確実に磨ける電動ブラシをお勧めします)、歯科医院で歯の手入れを受けた上で自分自身の体質を知り、全身の健康との係わりを理解して日常生活の問題点を改善していけば(東洋医学では“養生”と言う)、齲蝕や歯周病はごく一部の特殊な例を除き大部分は予防出来るのです。