歯科疾患の原因は?(1)
近年、歯周病をはじめとする歯科疾患と全身の健康状態の関連性が、新聞をはじめとするマスコミにしばしば登場するようになってきました。1996年にアメリカの科学雑誌『SCIENCE 』に、口腔内細菌が原因で、肺炎や心筋梗塞を引き起こすことがあるという論文が出たことが引き金となったようです。近代歯科医学は西洋医学の分野ですが、小野田歯科医院では歯科治療に東洋医学をはじめとした代替医療を導入しているため、口腔は身体の一部であり全身との関連を通じて口腔を診ることを、当たり前のこととして日々の診療を行っています。東洋医学では全身はすべて繋がっていると考えているからです。
齲蝕(虫歯またはデンタルカリエスともいいます)や歯周病(古くは歯槽膿漏)などの歯科疾患の原因は、大きく三つに分けて考えられます。第一に口腔内の清掃が不良で、歯垢や歯周ポケット内の齲蝕の原因菌や歯周病の原因菌の活動がより盛んになったこと(健常者でも口腔内には常在菌として齲蝕原因菌や歯周病原因菌は存在します)によるもの。第二に成長発育に伴う歯牙と顎骨のアンバランスが原因の不正歯列や、齲蝕を放置したことが原因で噛み合せが悪くなったことによる、咬合不全(力学的要因)からくるもの。最後に不規則な生活や偏った食事などに現代特有なストレスが加わって、糖尿病・高血圧症などの生活習慣病から来る全身的な要因の三つです。
一般的に疾病の発症要因としては、外部環境要因、遺伝的要因、生活習慣要因の三大要因が挙げられますが、治療者としてそれぞれを理解し把握することが、疾病の治療に当たる上で大変重要なこととなります。特に歯科の三大疾患(齲蝕・歯周病・顎機能障害)において、近年特に注目されてきているのが、生活習慣要因です。