代替・統合医療の確実な息吹(2)
昨年12月9日~11日、京都大学100周年記念ホールにて、第9回日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)ならびに第5回日本統合医療学会(JIM)の合同大会が開催されたことを、前月の健康ニュースでお知らせしました。今回の大会では数多くある発表の中では歯科の発表は少なく、一般演題として福岡博史先生、中城基雄先生、北原朋広先生、そして私と4演題の発表がありました。私の発表は「口腔乾燥症(ドライマウス)へのバイオファーメンティクスの応用」と題して、私がここ5年ほど前から歯科治療に応用しているバイオファーメンティクス(旧名:乳酸菌生産物質。他の同名後発商品と区別するために新たに命名されたもの)と呼ばれる、乳酸菌類の共棲培養によって得られた機能性発酵代謝産物を、現代のようなストレス社会で増え続けている口腔乾燥症(ドライマウス)に応用して好結果を得たことを発表しました。
バイオファーメンティクスは数ある乳酸菌生産物質と称される商品の中では、独自の研究機関を有し基礎・臨床とも研究発表を行っている数少ないものです。他の商品は原料をOEMで供給され、更に特徴を出すために独自の配合をしたものが殆どで、その効能効果を謳っている内容そのものは、実は供給された原材料自身のものであり、その商品に関しては詳細な検証が為されていないかもしくは発表されていないことが多いと聞きます。実際乳酸菌生産物質を臨床応用している先生の中には、残念なことにこのことすら知らない方が多いようです。後発品は「乳酸菌生産物質は優れたサプリメントである」という前提のもとに、臨床家に提供され応用されてはいるものの、その裏づけとなっている理論はバイオファーメンティクスが先鞭をつけたものが殆どだそうです。
今回の発表では私のほか、前信州大学第一内科教授の関口守衛先生(現赤坂関口クリニック院長)が、「バイオファーメンティクスを応用した過敏性腸症候群(IBS)の臨床経験」と題して臨床報告を行いました。またALA中央研究所からは、「乳酸菌の混合培養により得られた発酵産物(バイオファーメンティクス)の免疫賦活作用」ならびに「アレルギーおよびアトピー性皮膚炎モデル動物に対するサプリメント(玄精)の軽減作用」と題する基礎研究が発表されました。