掌蹠膿疱症と口腸免疫について
最近Nという女優さんが『掌蹠膿疱症性骨関節炎』という非常に珍しい病気との闘いを記者会見で明らかにしました。読んで字のごとく掌蹠とは手のひらや足の裏のことで、其の部分が真っ赤に腫れ膿を持った水疱が出来る病気を、掌蹠膿疱症といいます。何回もつぶれたりできたりを繰り返しますから、赤くただれ皮膚の角質が厚くなりますが、細菌やウイルスが原因ではないため人には移りません。この掌蹠膿疱症の合併症として骨と骨をつなぐ関節部に波及すると、体を動かす際に非常に痛みを伴います。
この病気の原因は非常に珍しい病気の為にまだ良く分っていません。扁桃の肥厚から細菌の増殖が起こる、慢性扁桃病巣感染が原因であるとする説や、蓄膿症などの副鼻腔炎が原因であるという説があります。また歯に詰められている金属が原因のアレルギーであるという説もあります。ただ掌蹠膿疱症に罹った患者さんの共通点は、喫煙者であることと極度の便秘症であったという点です。Nさんも記者会見で述べておりましたが、彼女は極度の便秘症であったそうです。同席した主治医も述べておりましたが、この病気の原因はビオチンという腸の中で作られるビタミンBが、欠乏したために起こると考えられています。つまり腸内細菌のバランスが崩れていたことになります。
またこれは私の臨床上の経験から言えることですが、Nさんの声は喫煙者特にヘビースモーカーの女性に見られるハスキーボイスです。おそらく過去にヘビースモーカであったかと思います(違っていたらごめんなさい)。また顔面の状態から口唇閉鎖力が弱いと思われ、睡眠時に口をあけて寝ている口呼吸である可能性が高いことが言えます。おそらく日常的に上気道感染を起こしやすく風邪を引きやすい体ではなかったでしょうか?つまりNさんは口と腸の免疫不全であったということです。