口腸免疫健康法(3)
当院でも扱っているバイオファーメンティクスと呼ばれる、プロバイオティクス・プレバイオティクスなどは、それ自体に含まれている乳酸菌や乳酸菌の発酵代謝産物の持つ有効なパワーにより、腸内の腐敗物質の分解・無毒化の現象を引き起こすことで、腸の組織が持つ身体への免疫力の向上を二次的に引き起こし、身体全体に好影響を及ぼす結果であることは良く知られていることです。
従来から腸管は摂取した栄養の体内への吸収器官としてのみにあると考えられて来ました。しかし不思議なことに腸管に付随した虫垂(盲腸)は、無用な役立たない不必要な消化器官であると一般的に言われています。急性の虫垂炎になると有無をいわせずに手術され、摘出されてしまった方も多いのではないかと思います。ところが最近になって、大腸がんや直腸がんになった方の既往歴(過去の病歴のこと)を調べてみると「盲腸を持っている人」と「すでに手術で盲腸を摘出した人」とを比べてみると、手術で盲腸を摘出した人のほうに大腸がんや直腸がんが明らかに多発するということの報告があります。
このこと1つを取上げて見ても現代医学が進歩したとはいえ、解明された分野と言えどもまだまだ不十分で完璧なものとはいえないようです。これからも腸が関与しているといわれる、免疫機構を解明していく必要性は大きいと言えます。実は同じ様にのどにも免疫を司っている機構があります。どなたも経験されていることですが、風邪の前ぶれとしてのどに違和感や痛みが出ると、扁桃腺が腫れてしまうという状況です。じきに身体に発熱などの風邪特有の諸症状が起きることは良く知られております。これはのどの免疫機構が具合悪くなり、外来のバイ菌に対しての抵抗力を失い、身体の中にまでバイ菌の進入を許してしまった結果、他の部の免疫機構が働いて進入済みのバイ菌をやっつけるために発熱しているというのはご存知だと思います。
口呼吸を続けていると、外来の乾いた冷気がのどに直接当たり続けます。ただそれだけで、のどの粘膜は炎症を起こしバイ菌をやっつけるための免疫機能が働けなくなります。免疫機能が働かないのどはバイ菌にとっては鬼門変じて格好のすみかと変わり、そこからはトンネルを抜けるように簡単に身体の内部にもぐりこめることになります。