上手な歯科医院のかかり方(5)
【初診診療編】
あなたが予約をして初めてその歯科医院にかかられたときのことを述べてみましょう。通常は初対面の挨拶をせず何も聞かずに、いきなり削り始めることはないかと思いますので、歯科医にあなたが歯科医院を訪れた動機を述べてみてください。どの部分が、いつごろから、どのような症状になっているかを、詳細に説明してみましょう。患者さん側のお話を充分に聞く姿勢がない歯科医は要注意です。ただし限られた診察時間ですから、要点をまとめてお話ください。初診時には歯科医はあなたが一番に訴えているところ(主訴)を、とりあえず解決する手立てを考えます。お痛みがひどい場合は、その痛みを取り去る方法を考えます。これは『対症療法』といいます。痛みが起きる原因によっては、当日は実際には大掛かりに治療をしない場合があります。たとえば抜かなければいけないような歯が原因で、その周囲の歯肉に炎症が起きているような場合は、当日は抜歯が出来ません。これは炎症がひどい場合に歯を抜くという刺激を加えると、麻酔が効かなかったり歯を抜いた後でもかえって痛みや腫れがひどくなることがあるからです。このような場合にはとりあえず患部を洗浄消毒後、抗生物質などの薬剤を服用してもらい、炎症が引いた後に抜歯をします。
痛みや腫れを起こす原因となるものを治療することを『原因療法』といい、急性症状が取れた後に行うことが殆どです。また虫歯がひどく神経が炎症を起こしたり、神経のない歯の根の先に膿がたまることで、猛烈に歯が痛んだり歯肉が腫れる場合があります。このような痛みや腫れの原因は、細菌の感染などで膿が溜まったりガスが溜まったりすることで、周囲の組織を圧迫することから起こります。このような場合は根の中の治療をしたり切開をすることで、高まった圧力を逃がす減圧を行います。対症療法で収まった痛みや腫れは必ず再発し、また再発時には以前より症状がひどくなりますから、一旦症状が治まったからといって自己判断で通院を中止するようなことは絶対におやめください。