上手な歯科医院のかかり方(1)
【予約制について(1)】
今回から、上手な歯科医院へのかかり方を述べていきたいと思います。かなり以前の話ですが、国民皆保険になった直後は国民の歯科治療のニーズが急増し、また歯科医師不足も重なり歯科医院の待合室には患者さんがあふれ、予約制では無く長時間待たされた挙句治療はごく短時間、などということが当たり前であったそうです。当然治療は痛いところのみを治療したり抜いたりする、今から思えば応急処置に毛が生えた程度のものでした。患者さんもとりあえず痛みが取れればそれで良い、といった人たちが殆どでした。
ところが高度成長期が過ぎ生活が豊かになって、種々のマスコミなどで健康情報が流れ出すと、自分の健康に関心を持つゆとりが出てきたこととあいまって、今までの痛くなければそれで良いという考え方がだんだんと見直されてきて、患者さんの意識も大きく変わりました。そして歯科大学の新設ラッシュによる歯科医師の増加で、今では歯科医院の数はコンビ二かはたまた美容院と同じか、などと云われるぐらい増えてきました。当然治療スタイルも以前のようなものではなく、口の中を一つの単位と考え悪い歯をすべて治す一口腔単位と呼ばれる治療や、一部の治療であっても統一された治療方針で患者さんのお口の管理を行うやり方が主流です。(尤も今後歯科医療はキュアーからケアーへと変わるでしょうが・・・。)
今では殆どの歯科医院が予約制を導入しているかと思います。これは歯科医療が医学の範疇では外科(=サージェリー。歯科医の英文略称はD.D.Sといい、ドクター・オブ・デンタルサージェリーの略です)に分類され、治療には大掛かりな機械・器具、そして多種多様な材料・薬品を必要とすることに基づきます。現在の歯科治療は手術であり、診察・投薬やセラピーが主体の内科系とは大きく異なります。したがって予約制で準備万端整えた上で行う歯科治療が、歯科医サイド・患者サイド双方にとってプラスとなるわけです。