医食同源(2)
中医学では、一般に暑い時には体を冷やす食品を、寒い時には体を温める食品を採るように勧めています。これは中国古典の医学から生まれた考え方で、陰陽五行説にもとづくものです。
これは物事をマイナスとプラスつまり陰と陽の様に対立する二つのものとして捕らえて考える思考法ですが、善と悪といったもののように、西洋的な論理で割り切って考えるものではありません。『陰極まれば陽となり、陽極まれば陰となる』という有名な言葉の通り、相反するものでありながら、実は隣り合うものというファジーな意味合いです。
たとえばお日様は陽であり月は陰ですが、太陽の輝きが無ければ、月の淡い光は生まれません。まさにこれは表裏一体を表しますが、人間の体で例えると背中は陽であり、お腹は陰となります。これは人間を四足の動物と考えると、背中は太陽の光を受けるからで、お腹はその影となるからです。
この考えを季節的に取り入れたものが、先に述べた暑い時には体を冷やすもの、寒い時には体を温めるものをとるという考え方ですが、別の見方として例えば肉類(陰・酸性)を食べた時には、野菜(陽・アルカリ性)を食べて打ち消し、体が中庸になるように勤めることが必要です。とかくテレビの健康情報で何々が体に良いとなると、その日の午後や翌日にはスーパーの店頭で、取り上げられた食品がなくなる、ということがありますが、体に良いものをそれだけ大量に採っても、かえって健康を害する可能性があります。陰陽のバランスを考え、食品のバランスを考える事が、賢い選択ではないでしょうか。