医食同源(1)
ファーストフードをはじめとする食事の欧米化に伴い、現代の日本人に大腸がんや生活習慣病が増加しています。これは口から入り腸から出す食べ物の経路に関し、いかに現代人は関心が低いかを表しています。中国医学に『医食同源』という言葉がありますが、まさに食べ物は人間にとって毒にも薬にもなります。
人の腸内にはおよそ100種類100兆個もの細菌が存在し
フローラと呼ばれる細菌叢を形成しています。その中には人にとって有害な大腸菌をはじめとする悪玉菌や、乳酸菌やビフィズス菌などの体にとって有益な善玉菌が存在します。腸内の菌の状態が人の健康を左右するという事実は、これまでに多くの研究者が研究し、今ではそれが定説になっています。また最近では脳と腸が共通して持つ脳腸ホルモンの存在も明らかになって来ています。
便秘症や下痢症などの腸の状態が不安定な方は、脳の状態も
不安定で情動面に問題がある?といったら言い過ぎかもしれませんが、少なくとも腸内の状況が人の健康状態の鍵を握るだけでなく、心(精神)の状態も左右することは紛れもないでしょう。
動物性蛋白や脂肪分の多い欧米化した食事を見直し、穀物や野菜を中心とし、乳酸発酵の漬物を食べ、大豆由来の味噌汁を飲む伝統的日本食は、長い間食事によって培われた日本人の腸の状態に、最も適しているのではないでしょうか。
『和』という字は穀物を表す『禾』へんに、つくりが食べることを表す『口』で出来ています。つまり日本人をはじめとする農耕民族は米などの穀物を食べるて居ると、精神状態が落ち着き和むことを表します。やはり食事はゆったりとした心で味わいたいものです。