喫煙と歯周病の関係
歯周病は歯と歯肉の境目である歯肉溝に、歯周病原菌を含むデンタルプラークが停滞し、病原菌の産生する内毒素ならびに菌体が存在することで誘発される各種免疫応答が引き起こす、歯肉の炎症と歯槽骨の破壊・吸収が起きる疾病の総称です。痛みや不快感といった自覚症状が無いまま進行するために、気がついたときには病状が進行している可能性が高く、成人の90%近くが罹患している国民病とも言える疾病です。
この歯周病に掛かる原因は、歯周病の発症および進行に関連するものであり、病原性因子、遺伝子因子、環境因子からなります。病原性因子としては、歯周ポケット内に存在する歯周病原性細菌が挙げられ、これら病原性細菌の除去を目的として口腔内環境の改善を図る口腔ケアが、大変重要なこととなります。また歯周病の発症・進行において48~53%は個人の遺伝的支配を受けていると報告されています。環境因子としては、喫煙やストレス、昼夜逆転や睡眠不足にみられる不規則な生活、食生活など現代特有な問題も挙げられます。なかでも心理的肉体的に生体に発生したストレスは、自律神経系に作用し各種交感・副交感神経作用物質が分泌されると、生体免疫細胞である多形核白血球、マクロファージ、リンパ球に作用して免疫応答を遅らせ、生体防御能を低下させることがわかっています。歯周組織においても例外ではなく、ストレスから逃れるための喫煙が却って口腔に悪影響を及ぼすことは、ストレスそのものの存在とあわせ問題です。