喫煙と歯科疾患(1)
10月からタバコが大幅に値上がりし、それを禁煙のきっかけとする人が増え、禁煙外来を持つ医療機関は大盛況だそうです。内科医向け商業学術雑誌「診断と治療」2009年7月号に「歯科疾患と喫煙」と題した論文を発表したことがきっかけで、同年9月17日発行の夕刊誌「日刊ゲンダイ」に「これでもまだ吸いますか?口の中ボロボロ」と題した記事に依頼されコメントをしたことがあります。
「健康日本21」は、21世紀における日本国民の健康増進運動として厚生労働省が提唱し、2000年から10ヵ年の期間をかけて行われた健康増進プログラムです。このプログラムの中の九つの具体的目標分野のうち、歯科関連として「たばこ」及び「歯の健康」において、禁煙支援、受動喫煙の防止、禁煙が及ぼす健康影響についての知識の普及、禁煙支援プログラムの普及が挙げられていました。更に2002年に制定された「健康増進法」においても、歯科医師・歯科衛生士の専門家として保健指導を行うことが明文化されていて、日本歯科医師会による「8020運動」(高齢者のQOL向上のために80歳で少なくとも20本の歯を残す)と相俟って、歯科における禁煙指導がますます重要となってきています。
しかし禁煙指導に果たす役割が大きい歯科医ですが、実は残念な事に相変わらず喫煙率が高いのが実情です(喫煙率は医師より多いと聞きます)。歯科医師会の会合の後席や学会の休憩時間には、タバコを燻らす歯科医が多くいます(その煙いこと!)。私ですか、私は20年前に禁煙をしており、非喫煙歯科医です。