再び統合医療を考える ①
統合医療とは現代において行われている標準的な医療である西洋医学の利点と、中医学や漢方などの伝統医学や民間療法を含めた補完代替医療の利点を加味して患者の治療に当たるものです。この概念は薬物療法だけではなかなか治らない病態の改善を行い、薬物の副作用を軽減しQOLの維持又は向上を図る、という現代医学の隙間を埋める目的から来ていると言えます。
西洋医学は病気の原因は体の外にあり、治療の主体は手術や投薬が主体となるものです。これに対し代替医療は病気の原因は体の中にあるとされ、治療は体質改善や生活改善が主体となります。統合医療と似た 概念としてホリスティック医療がありますが、ホリスティックはすなわち病を体全体で捉えること を主眼とし、医療者(医師)はあくまでも援助するのみであり、患者自らが癒すことが求められるものです。またスピリチャルな ヒーリング法もそこでは決して否定はされません。「人はなぜ治るのか」というホリスティック医学を学ぶ者にとってバイブルのような本の著書である、アリゾナ大学医学部のアンドリュー・ワイル博士による研修プログラムが米国には存在します。統合医療に含まれる代替医療の概念は、ホリスティック医学の概念と共通しますので、本ブログ上では広義の統合医療を統合医療として捉えることにします。
ただし統合医療として、第一選択である標準的な医療行為の延長線上に代替医療があるとすれば、補完目的や未病という概念に基づく健康維持の目的のために行う医療は、医師・歯科医師をはじめとする資格を有する医療従事者が本来であれば協力して患者さんを癒す行為を行わなければなりません。民間の資格の施術者が行う療法は「代替医療」であり、健康維持を目的とした場合にはともかく、西洋医学をすべて否定して行われる治療は統合医療ではありません。