(番外編)災害と歯科医療
今日は9月1日「防災の日」です。ご存知かと思いますが関東大震災が9月1日に起こった為に、その記憶を忘れないようにとの記念日です。都市型の震災としては阪神淡路大震災が記憶に新しいかと思います。私は本日の午前中、渋谷区が主催する総合防災訓練に渋谷区歯科医師会の担当委員として出席してきました。本訓練は来るべき東京直下型大地震にそなえたもので、区が主体となり区民参加で警察・消防・ライフラインの各会社・自衛隊・関係各機関も参加する大掛かりなものです。
災害時に歯科医の果たす役割は大きく分けて二つあります。第一には個人識別、第二に避難された方々に対する歯科医療的支援です。不幸にして災害で亡くなられた方で、個人が特定できないケースが被災状況によって出てきます、その場合には最終的には身体の部分で一番硬い「歯牙」を用いて、個人の識別を行います。そこに関わるのが「法歯学」的訓練を受けた歯科医です。お亡くなりになられた方の生前のレントゲン写真やカルテを元に、
現状を踏まえた上で個人識別を行うことになります。
また避難所等に収容された方の中には文字通り着の身着のまま避難された方がおり、その中には入れ歯を紛失されたり、破折・破損された方もいらっしゃいます。ご高齢の方々にとっては入れ歯が無ければ食物をとることもままなりません。またライフラインの復旧までの間は、乾パンなどの加工されていない食物を摂るしかなく、入れ歯が無ければ折角助かっても長い避難生活の中で、徐々に身体が衰弱することになります。そんな時、歯科医が避難所等で限られた器具機械を使って応急的に義歯の修理・製作を行い、歯科医療支援を行うのです。