再び統合医療を考える ②
病気とは文字通り「気が病むことによって起こった病態」を意味し、心と体の不調または不都合が生じた状態をさします。すなわち心と体の調和が取れた良いバランス状態が「健康」だとすると、心と体のアンバランスが起こった状態から気が病み「不健康」すなわち病気になると考えられます。「気」とは非常に難しい概念であり現代西洋医学の医療には無い概念ですが、西洋医学単独では片付けられない病気に纏わる患者さんの病態の良好な変化が、「気」の変化によって起こるものであるとすれば、「気」の概念を認めることで患者さんにとって利益がもたらされれば、それはそれで良いことになります。つまり医療は医師で無く患者さん主体であるべきなので、病の呪縛から開放されさえすれば患者さんにとってみればその手段は何でも良く、要は最終的には「治ればそれでよい」ことになるからです。
ただし医師主導であっても代替医療の使い方を誤った場合や、また先月記述したように民間資格で行われる代替医療は、時として重篤な問題をひき起こす可能性があります。インターフェロンと漢方の小紫胡湯の併用で副作用が出て死者が出た例や、植物や鉱物の成分を限りなく希釈したレメディと呼ばれるものを薬として使用するホメオパシーを受けていた女児が死亡した例などです。「代替医療の医学的証拠」(米国医師会編、泉書房刊)では、科学的根拠(エビデンス)に基づく診断と治療をする為に、種々の代替医療の適否が検証されています。また「代替医療のトリック」(サイモン・シン、エツァー・エルンスト著、新潮社刊)には様々な代替医療が取り上げられ、これらに対しすべて否定的な見方をしています。その中では鍼灸やカイロプラクティク、アロマテラピー等の比較的メジャーな代替医療でさえ、プラセボ(偽薬)効果に起因するものでありエビデンスが無い、と論じています。そしてプラセボがあるとすれば西洋医学的にエビデンスがある化学合成された薬品にもその効果が存在するものであり、であればそれで充分と断じています。しかし果たしてそうでしょうか?