再び統合医療を考える　～自らの体験を通して　Ⅰ～

今まで私は統合医療に携わる歯科医師として患者さんと接してきました。当然それは医療従事者であるがゆえに患者サイドではありませんでした。ところが昨年の９月末に発症した背中の持続的な痛みから脊椎の腫瘍が見つかり、原発の悪性腫瘍がありそれが骨に転移したことが濃厚ということで、一時は目の前が真っ暗になりはじめて自分が患者サイドに立つことになりました。この体験を通して医療が細分化され専門性を有したゆえの問題点や、医療のデジタル化の問題、そして自分自身が患者として関わった代替医療併用の問題などについて述べていきたいと思います。

もともと私は１０年来のいわゆる「石持ち」でした。最初は腎結石からの水腎症と診断されたことを手始めに、１０年間に２回ほど大きな病院の救急外来にお世話になりました。経験したことがある方はお分かりのように、尿路結石の痛みは想像を絶するものです。初めての発作時は深夜（発作が起きるのが不思議と深夜なのです）救急外来にお世話になり、鎮痙剤と鎮痛剤の座薬を貰い詳しい検査をする為に明日再び来院するようにと指示を頂いたのですが、父の主治医がいる他の病院の泌尿器科（そこは救急外来が無いのです）に受診し治療を受けることになりました。また２回目もやはり深夜で同じ救急外来にお世話になり同様の指示をいただいたのですが、翌日はたまたま私が担当する学校の歯科健診があり、突然健診を断るわけにはいかず、また遠方から来院される患者さんの予約も入っており、さらに翌日はケロッとしていたものですから、結局救急のみで受診できずにおりました。

そして今回昨年の９月、長時間のドライブ後に背中が痛くなり、腰痛かと思い湿布をしたのですがなかなか痛みが引きません。ある夜中小用にトイレに起きたときはベッドから起き上がりトイレに行くまで１０分、トイレからベッドに戻り身体を仰臥するまで痛みのために１０分、都合２０分も掛かる始末でした。それでこれはまた腎結石が出来たのかと思い近隣の内科医に掛かりました。その先生は循環器が専門であり尿路結石は分からないということで、紹介いただいたのが以前掛かった救急外来のある某大病院の泌尿器科でした。多少嫌な予感がしましたが、自分の不始末はお詫びするつもりで翌日初診として某大病院にかかりました。その病院の泌尿器科は非常に患者さんが多く、初診であるがゆえに２時間待ってやっと自分の順番が来ました。その頃はボルタレンの25mgの座薬を１日４回入れないと痛みが取れず、ＱＯＬが維持できない状態でした。