歯科における鍼灸・低周波ツボ通電
1972年に中国を訪れたニクソン大統領の随行報道陣の歯の痛みを、鍼治療で除痛した事がきっかけで世界にその情報が発信され有名になって以来、歯科東洋医学は鍼をペインコントロールに用いる鍼麻酔が主体となって発展してきました。しかし本来歯科治療そのものは、削る・切る・抜くと言った恐怖を呼び起こすネガティブイメージが常に付きまとうため、現代の様なストレスが溢れ不安緊張を取り除く癒しを必要とするような社会構造の中では、歯科の治療の際に何らかの快適性(アメニティー)が求められる様になってきています。そこで鍼の持つマイナスイメージ(尖った、鋭い、痛いなど)を払拭するために、当院では経皮的に経穴(ツボ)に低周波通電するTEAS=(Transcutaneous Electrical Acupuncture-point Stimulation)を積極的に多用しています。
TEASに用いる機器としては、ポインターメディカル社のポインターを使用しています。スケーリング(歯石除去)の際、除痛のために『合谷(ごうこく)』に通電する場合、顎関節症の際の開口障害緩和のために『下関(げかん)』と『頬車(きょうしゃ)』に通電する場合など、良く歯科臨床には使用されています。また嘔吐反射の強い患者さんの印象採得(歯や歯槽堤の型採り)の際には、『天突(てんとつ)』を押さえさせ、左右両方の『完骨(かんこつ)』に通電し、嘔吐反射を抑える方法も良く使っています。
またその他に、置き針の一種である痛くなく簡単に貼れるセイリンのパイオネックスを用いて、歯科関連のツボに応用しているほか、当帰・紫根配合の「新てん温膏(カネボウ薬品)」なども使用し、歯痛の原因と考えられる肩の張りの緩和に使用しています。