幼児期における口腔ケアの必要性について
日本歯科医師会と厚生労働省は、80歳になっても自分の歯を20本以上残すという「8020運動」を積極的に推進していますので、皆さんも既にご存知かと思います。しかし健康で長生きするためには、成人になってからではなく幼児期からの健康管理が重要となります。当然そのためには保護者が乳幼児期から積極的にこどもの口腔ケアに関わることが必須となります。
幼児期における口腔ケアには、
1.虫歯や歯肉炎などの歯科疾患の予防としての歯みがき
2.正しい生活習慣を確立するための方法としての歯みがき
3.口を綺麗にしておくことが気持ち良いことを実感させる
という3つの目的があります。
幼児期の歯みがきは、生後7~8か月ごろからの「慣れ歯みがき」から始まり、スプーンで自らの口に食べ物が運べる1歳半前後から「自分歯みがき」がスタートし、2歳になったら「食べたらみがく」の習慣を作りましょう。ただしここで気を付けなければならないことが二つあります。第一に「こどもに歯ブラシを持たせたら絶対に目を離さないこと」です。口に咥えたまま転んで歯ブラシが喉に突き刺さる可能性がありますので要注意です。第二に「磨いている」ことと「磨けている」ことは異なることを理解し、必ず保護者が仕上げ磨きをしてあげる必要があることです。
現在小学校では子供たちの健やかな心身の発育のために、「早寝・早起き・朝ごはん」という生活習慣を児童に求めています。この生活習慣を早くに確立できるかどうかは、実は幼児期の歯みがきが家庭生活に取り入れられていたかどうかに関わってきます。また「口を綺麗にしておくことは気持ちが良いこと」を実感させるためには、歯磨きをすることだけでなく三度の食事や間食(おやつ)などにも気を使い、食事の際の「ダラダラ食べ」や飴やチョコなどのお菓子やジュースなどの飲料で、口の中が長時間常に汚れ続けているような環境を作り出さないことが必要となってきます。