食・呼吸・睡眠その3
いきいき健口術のキーワード、今月は「呼吸」です。
呼吸は殆どの方が意識せずに行っていますが、意識して呼吸を行うと健康観、いや大げさに言えば人生観が変わります。正しい呼吸法はもっともお金の掛からない健康法であるともいえましょう。肺に空気を届かせるためには、鼻または口から空気を入れるのですが、人の健康維持を図るためには鼻呼吸が断然お勧めです。太古の昔、猿の祖先から枝分かれしたヒトのルーツは、口で呼吸することで声を出す仕組みを手に入れ、話すことが出来るようになりました。ただ同時に口呼吸を行うことにより、さまざまな疾病を抱えて日々過ごすことになりました。
くちびるが閉じる力が弱り、鼻呼吸が出来なくなり口で呼吸をすれば、免疫不全を起こします。また口呼吸をしていると舌の力が弱まり嚥下力も弱まることで誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。また口呼吸を行っていて口唇閉鎖力が低下していれば、睡眠姿勢の悪さが重なればいびきを掻きやすくなり、睡眠時無呼吸症候群となり睡眠の質が低下します。鼻呼吸をすることで免疫力が向上し生活習慣病を防ぐことが出来れば、アンチエイジングにつながります。
また大風邪をひいて両鼻が詰まっているときの食事は、味がわからず美味しくないという経験をした方がいらっしゃると思います。食べ物を良く噛んで飲み込むためには、鼻呼吸が出来ていないと食事が困難となります。また食品の中に含まれる味のカプセルは良く噛むことで壊れ、味のエッセンスが出てきますので、うまく噛めずまた鼻が利かなければ食事は味気ないものとなるでしょう。