歯科診療前の東洋医学的体質診断=「血虚」
● 血虚とは
全身に栄養を与える『血』が不足しその働きが低下しています。体のすべての器官は『血』の栄養を受けてはじめて正常に機能するので、『血虚』の人には『血』が不足したいろいろな器官の異常が見られます。
● 血虚の人の代表的な体質
顔色に血の気がなく、基本的には色白。皮膚はかさかさ、つやも無い。髪の毛は細く抜けやすく、爪は割れたりかけたりしやすい。疲れやすく表情が暗くなりがち。食が細く立ちくらみやふらつきがある。なんとなくイライラと落ち着かず、不安感や不眠症があり、女性の場合は生理不順が多い。有名人に例えると二人揃って高学歴高身長お笑いコンビのA・Yさん(まったくの私見です)。
● 舌診では
舌は血の気がなく、白っぽい色をしていて、舌が痩せて薄く見えます。
● 血虚の人がなりやすい病気
各種の貧血症や女性の月経に関する異常(無月経、稀発月経、月経過小症、生理不順、生理痛、更年期障害など)ほか、末梢神経障害(しびれ、麻痺)や筋肉痛、便秘症などが上げられます。
● 血虚の養生方法
『血虚』の養生の基本は食養生です。『血』を増やすように努めることです。『血』をふやすためには『血』を増やすような食材を取ることです。人参、ホウレン草、ヒジキ、レバー、栗、クルミ、黒ゴマなどを食事の中に少しずつ増やすと良いでしょう。また摂った食材を体に役立つものとするためには、睡眠をきちんと取ることです。上記の食材は東洋医学の陰陽で言うと『陰』に属しますので、『陰』を支配する夜間にぐっすりと眠ることが、この食材の働きを増強させます。そして昼間はこまめに動いて血の巡りを良くすることです。
● 歯科的注意点
このタイプの方は末梢である歯茎に血液がうまく巡らないため、歯周疾患になりやすい体質をしています。またイライラとすることから、くいしばりや歯軋りも多く見られます。その結果歯茎は薄く退縮し、歯茎の際の歯の根の部分がクサビ状にえぐれてきて知覚過敏となりやすいです。また『腎陽虚』の傾向も強い人は、歯が擦り減りやすく咬合不全になりやすいです。