歯科診療前の東洋医学的体質診断=「腎陽虚」
● 腎陽虚とは
生まれつき、又は生後の大きな消耗で先天的な生命力の蓄えが減って『気』が不足しています。この先天的な生命力は『腎』に蓄えられ『熱』の元になるため、『熱』が不足し冷えが強く生命力の蓄えが無い状態をいいます。
● 腎陽虚の人の代表的な体質
一見痩せて見えるが皮膚はポチャポチャ。色白で華奢、見るからに体力は無さそう。髪は細くて薄く、若白髪の人。骨や歯が脆く、手足の冷えが強い。女性は生理不順や無月経、男性は生殖器機能不全がみられることも。トイレが近く、夜中に何度も起きることがある。有名人に例えると平日の昼間の帯番組のMCで有名のお笑いタレントK・Kさん(まったくの私見です)。
● 舌診では
舌は赤みが少なく白く見えます。表面を舌苔と呼ばれる苔状のもので覆われていることが多く、特に付け根の部分が厚く見えます。全体はボテッとした感じです。
● 腎陽虚の人がなりやすい病気
上記の病気のほか、前立腺肥大、慢性腎炎、下痢、便秘症などの排泄異常。『腎』とかかわりの深い耳や髪の異常や、『熱』が不足して水が過剰となる(水毒)が原因の、冷え性、浮腫、甲状腺機能低下症、花粉症、慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎など。骨粗鬆症や関節の脱臼、椎間板ヘルニアなどの骨格異常も見られます。
● 腎陽虚の養生方法
まず『熱』を失わないようにすることです。そのためには薄着は控え、自分の熱は逃がさない工夫をすること。冷たい食べ物・飲み物は飲まず、体を冷やす生野菜や果物は控えて下さい。第二に『腎』の負担を少なくすることです。そのためには昼間はこまめに動き、夜間質の高い睡眠を取り英気を養うことです。
● 歯科的注意点
このタイプの方は歯や骨が脆いので虫歯になりやすく、また中年以降には歯槽骨が溶ける歯槽膿漏になりやすいので気を付けましょう。また顎の関節の異常が出やすく顎関節症になりやすい体質をしています。舌の上の苔は口臭の原因になるので、朝一番に舌の上の苔を観察し、舌ブラシで掃除しましょう。(アーユルベーダの応用)