最近、歯軋り・食いしばりによる弊害を起こす人が増えている!その3
噛み合わせ(咬合)によって歯牙および歯周組織に外傷が起きることを咬合性外傷といい、外傷が起きるような噛み合わせの事を外傷性咬合と言います。咬合性外傷の原因は様々ありますが、特に現代社会に生きる人間にとって見逃せないのがストレスです。
中医学ではストレスまたはストレス状態であることを「七情鬱結」といいます。この七情とは人間の持つ「喜」「怒」「憂」「思」「悲」「恐」「驚」の七つの感情を指します。そしてその七つの感情は五臓六腑と深く関係し、過大なあふれた感情が臓器を障害し病気を作り出します。「喜」「驚」は「心」と、「怒」は「肝」、「思」は「脾」、「悲」と「憂」は「肺」、「驚」は「腎」と関係し、その有り余る感情は関連する臓器を痛め病気を作り出すと言われています。中医学ではこれらに対する投薬・処方(漢方薬)はそれぞれありますが、大事なことは鬱勃たる感情をためないように日々過ごすことです。日々健康に過ごすように努めること、これすなわち養生ということになります。現代社会に暮らす我々にとっては「晴耕雨読」を望めるはずもなく、日々ストレスを徐々に溜めていくことになります。
まったくの私事ですが、歯科医である私は、あることがきっかけで多大なストレスを感じはじめ、ここ1年程前より睡眠時に食いしばりをしていることに気が付きました。朝起きた時に顎や歯に違和感があり、そして睡眠そのものの質が悪くなっていることに気が付きました。一時枕を変えたことが原因かなと思いましたが、実はそうではなくその原因は「七情鬱結」でした。最初は左側の第二大臼歯に鈍い痛みを感じはじめたのですが、50年以上前に父に処置してもらったアマルガム充填がいよいよ虫歯かな、程度の軽い症状でした。ところが数日後、夜間にその歯が猛烈に痛みだし、目が覚めました。面白いことに目が覚めるときには決まって、その直前に焦る夢、怖い夢等の不快で楽しくない夢を必ず見ていました。