これでもまだタバコ吸いますか?その2
歯科医師である私は禁煙をしてから25年以上経過しました。私が禁煙できたことは世の中の流れに沿った正しい選択であったと思います。ましてや喫煙が及ぼす全身的影響が明らかになった今、自らがそれを体験した医療従事者として禁煙は当たり前のことであると確信しています。また他人のタバコが及ぼす副流煙は、医療従事者としてではなく(当たり前のことですが、当院は禁煙です)一人の人間として非常に不快に思いますので、私は嫌煙者であるともいえます。仕事柄タバコの臭いに加え歯周病の臭いの混ざった口臭のある患者さんに接することは多くありますが、そのようなときには空気清浄器をMAXにして少しでも臭いを少なくするようにしています。しかし患者さんは患者さん、残念ながら仕方がない(もちろん禁煙を勧めておりますが)ことです。しかし本当に残念なのは同業の愛煙家の歯科医師の先生方です。タバコの害を説く学術学会の会場の外では、空き時間に喫煙所でタバコを燻らす先生方は少なくありません。なんとも残念なことです。人間としてストレスの捌け口(?)である喫煙をすることは個人の自由ですが、医療従事者自身が喫煙をするというのは、また会合の後の酒席でタバコを吸うのは、如何なものでしょう。
さて本題に入ります。タバコによって唾液が粘着性を帯びてくると、舌の上の苔(こけ)である舌苔(ぜつたい)が厚くなり、黄色や黒色に変色します。舌苔では細菌が繁殖していますから、肺の中にたまったニコチンやタールによる臭気とともに、喫煙者の息は強いにおいを発します。さらに、たばこに含まれるニコチンやタールは、舌の表面にあって“味覚センサー”の働きをする味蕾(みらい)の活動を阻害します。そのため、味覚異常を起こす喫煙者は実に多いのです。また、喫煙者に歯石の沈着量が多いのはたばこの煙に含まれるアンモニアのせいです。