サルコぺニアとオーラルフレイル
最近「サルコぺニア」なる言葉が良く聞かれます。サルコぺニア(sarcopenia)とは、全身の筋肉量が低下しその結果筋力または身体能力が低下した状態を言い、筋肉減弱症とも言います。加齢が原因の原発性サルコぺニアと基礎疾患や性格(体を動かすことが嫌いでじっとしていることが好きなど)、栄養障害などが原因の二次性サルコぺニアに分けられます。主に高齢者に多くみられ、運動機能や身体機能に障害が生じ、転倒による外傷や骨折のリスクが高くなります。このことから原発性のサルコぺニアから更に二次性サルコぺニアを生じることも多くみられます。
歯科領域においては歯・口の健康への関心度(デンタルIQ)が低く、虫歯や歯周病を放置して重症化を招き、歯を喪失するなどして口の中の機能が低下すると、滑舌が悪くなったり、食べることができないものが増えたりします。その結果食べることが億劫になったり、食事の栄養バランスを欠くと、噛む力や舌の動き、食べる量が低下し、低栄養、代謝量の低下、サルコペニアを引き起こす要因となり、ひいては要介護状態に陥ることとなります。このことをオーラルフレイルと言います。
また義歯を装着した方では、食物を咀嚼し嚥下をする筋肉量が低下し、「良く噛めない・呑み込めない」ということが起こります。たとえ適正な義歯が装着されたとしても、オーラルフレイルが起これば、入れ歯が「痛くて・安定せず・良く噛めない」状態となります。以前作った入れ歯が「痛くて・安定せず・良く噛めない」、だから今入れ歯を入れていない、または我慢して使っている、という経験はありませんか?入れ歯が合わない原因の一つとして、入れ歯になる過程で狂った顎の位置を正しい状態に戻して入れ歯を作っても、使っているうちに慣れ親しんだ元の悪い位置関係に戻ってしまう、という現象があるからです。そしてここで口腔周囲の筋肉の低下が起きれば・・・。