フッ素塗布を考える その4
「デンタルIQ」という言葉があります。我々歯科領域の専門家の中で使われる言葉ですが、何もこの概念は歯科に限ったことでなく歯科口腔と全身の関連性を考えて、「ヘルスIQ」と言い換えても良いでしょう。これは「自分の体は自分で守る」為に正しい健康知識を得る努力を行い、それを日々実践出来る知的及び動的能力を指します。ただし世の中には間違った健康情報が溢れていますから、何が正しくて何が悪いかをじっくりと見極める必要があり、落ち着いて情報の取捨選択をする(メディアリテラシー)を高めるために、自分自身の体を見つめ勉強をすることが肝要です、と本年3月のブログには書いたのは記憶に新しいと思います。我々歯科領域においてデンタルIQが高い人とは、直接的にはシュガーコントロールならびにプラークコントロールが出来ており虫歯の無い人を言います。しかし不幸にして虫歯が出来たとしても、それをすぐに治療しその後再発が無いように努力をする人も、デンタルIQが高い人とも言えます。
デンタルIQ(ヘルスIQ)が高い保護者の子どもは基本的には虫歯が無いか、あってもごく軽微でそしてすぐに処置を受けていて、歯並び噛み合わせが綺麗な場合が多いという特徴があります。反対にデンタルIQが低い保護者の子どもは、虫歯が多発し放置されており歯並び噛み合わせが悪い、と言うのが一般的です。少なくとも子供に虫歯が多発していながらそのまま放置しているということは、親(保護者)の責任が皆無ということになります。もちろん種々の事情で歯科医に連れて行けないこともあるでしょうが、特に経済的困窮が原因の場合は自治体にもよりますが、例えば東京であれば中学卒業までは保険負担分はカバーされますので、保険内の治療であれば費用は掛かりません。従って未受診の理由にはなりません。それでも歯科を受診させないということは、一種の育児放棄ともとられても仕方がないでしょう。