誤嚥性肺炎 (2)
PCの不具合で先月更新できなかった為、2017年6月分として・・・
前回にも述べましたが、誤嚥性肺炎とは多数の細菌を含んだ唾液や粉砕された食物、胃液が食道に入らず気道から肺に入り込むことで起きる炎症です。本来であれば働くはずの気道と食道を分ける弁が働かず、気道に誤って空気以外のものが入ってしまうことを誤嚥と言い、多くの場合嚥下をつかさどる筋肉やその周囲のセンサーが老化することが原因です。もちろん若くて元気な人でも何かの拍子(飲食中に急に○○する、される)に飲食物が気管に入り、「ゴホゴホ」とむせて吐き出そうとすることはあると思います。これは気管入口付近に留まったものを、「むせる」ことでそれ以上奥に入らないようにする防衛反応です。しかし老化が進み吐き出す力が弱くなってくると、細菌を含んだ飲食物が気管から肺の奥深くに入り込み細菌が繁殖し、炎症を起こすことになります。また誤嚥は飲食中だけでなく、睡眠中に細菌が繁殖した唾液や吐しゃ物を誤嚥することも多くみられます。
老化が誤嚥の原因と述べましたが、すべての高齢者において誤嚥が起こりその結果肺炎が起こる訳ではありません。基礎疾患として喘息やCOPDなどの肺疾患がある高齢者、そして脳梗塞等の脳血管障害により反射(咳・嚥下)の低下がみられ、日常の生活動作が低い高齢者に誤嚥が起こりやすいことが分かっています。肺疾患と脳血管系の疾患が重なっていればなおさらです。(写真は渋谷区成人歯科健診の65歳以上の方に実施している嚥下機能テストテストRSSTを実施しているところ。30秒間に3回以上唾の空飲みが出来れば正常です)