健康産業流通新聞取材記事(後編その2)
Q.歯科疾患が全身状態との関連で生じる場合があるとすると、当医院では乳酸菌生産物質はどのように利用しているのですか?
A. 私の考え方としては患者を治療するには、引き出しを多く持つ必要があると思っています。そのなかで、乳酸菌生産物質を患者の健康に対するモチベーションを上げるためと、東洋医学的に体質改善をするために使っています。東洋医学では病気の根本は人体の中にあるとし、疾病の内因に迫り、患者の自然治癒力を引き出すことによって解決しようとするものです。その点でいえば、腸管免疫は体の免疫の70%を占めると言われていますので、腸内環境を改善して免疫力を強化すると、口腔の免疫力もアップするものと考えられます。実際に私は使用している乳酸菌生産物質で、う蝕菌や歯周病菌の増殖を抑制する働きを確認しました。
この作用を踏まえ、近年は歯周病菌が誤嚥性肺炎や糖尿病など様々な疾患を引き起こすことが分かってきましたので、私はある企業と組んでデンタルジェルを開発し、最近医薬部外品になったものを患者に勧めています。歯周病菌を除去しようと抗菌歯磨剤やリンスを使用すると、口腔内の有用菌まで取り除き、菌交代症引き起こす可能性が考えられます。その点、乳酸菌生産物質は歯周病菌に特化した抗菌作用があり、安心して利用できます。またラットを用いた試験では創傷治癒効果が確かめられているので、私は口内炎の患者にも利用しています。
このほか、乳酸菌生産物質を利用し始めた当初には、舌痛症で強度の便秘の患者に、便秘改善を目的に摂取してもらったところ、漢方薬でも改善しなかった便秘が3週間ぐらいで改善し、同時に体調が良くなり、同時に舌痛症も消えたという症例もありました。
Q.乳酸菌生産物質が口腔の健康維持を目的に歯科で広がる可能性はありますか?
A.最近は乳酸菌生産物質の取り扱い企業も増えてきましたので、同業の歯科医師も利用価値を認めています。ただエビデンスが多くないので、原料メーカーが機能性データを揃えることが利用拡大には必要と思います。
終わり