「子育て歯科」の実践
口腔から考える子どもの育て方ABOUT pediatric
日本歯科医師会と厚生労働省は、80歳になっても自分の歯を20本以上残すという「8020運動」を積極的に推進しています。健康に長生きして自身の歯を使い続けるためには、成人になってからではなく、乳幼児期からの健康管理が重要です。そのためには保護者が乳幼児期から積極的に子どもの口腔ケアに関わることが必須となります。
私自身も子育てをしてきた経験から、子どもの心身を育て、その成長を見守ることと同時に、健康を育むことの重要性を痛感してきました。今日1日を健康に過ごすだけでなく、1年後、10年後、そして成人し年齢を重ねてからも健康でいるために、日々気をつけることができる生活習慣があります。歯科分野においては特に、日常生活における口腔ケアが、歯の健康維持に重要な役割を果たします。
また私は小学校医・保育園医の経験もありますが、現在小学校では子どもたちの健やかな心身の発育のために「早寝・早起き・朝ごはん」という生活習慣を呼びかけています。この生活習慣を早くに確立できるかどうかは、実は乳幼児期の歯磨きが、家庭生活においてどの程度取り入れられてきたかに関わってきます。
「口をきれいにしておくことは気持ちが良いことだ」と子どもに実感してもらうためには、ただ歯磨きさせるだけでは不十分です。三度の食事や間食(おやつ)などにも気を使い、食事の際の「ダラダラ食べ」を改善したり、糖分の多い食べ物で口内が長時間汚れ続けているような環境を作り出さないことも必要です。
このように考えていくと、生活習慣と口内健康の関係は、行儀作法や生活指導といった側面にもつながり、子育てそのものであるとすら言えるかもしれません。
そこで当院では、子どもの歯科医療をより包括的に捉えた「子育て歯科」という考え方を実践していきたいと考えています。
小児歯科の重要性Importance
一生涯にわたって歯と口内の健康を維持するためには、小児期から歯科疾患の発症予防につとめることが大切です。口内健康は、全身の健康増進に影響していることもわかってきています。
これまで日本においては、歯が痛くなってから歯科で治療する、といった傾向がよく見られました。しかし虫歯や歯周病が進行してからでは、歯に少なからずダメージが残ります。治療のために削った歯は、詰め物をして機能を補うことはできても、元に戻ることはありません。
小児歯科を利用して、幼い頃から痛くなる前に治療する、病気になる前に予防する歯科治療を心がけることで、歯と口内の健全な環境が保たれ、将来の健康維持や高齢になっても多くの歯を残存させることにもつながります。
こどもの歯科治療GENERAL
「怖くない!」子どもが楽しく通える
歯医者さんであるために
子どもに歯科治療を受けさせるときに、ネックになるのは「恐怖心」です。歯医者は痛いはず・怖いはず、という先入観は、治療時の緊張につながり、リラックスできないことでより痛みを感じやすくなるという悪循環を生みます。
決してお子さんを無理やり押さえつけて治療するようなことはせず、親として校医としての経験から、しっかりとお子さんとコミュニケーションをとりながらわかりやすく治療の説明をして、安心して受診してもらえるようにつとめています。
フッ素塗布
フッ素は歯の表面のエナメル質を強化します。ごく初期の虫歯は、フッ素の塗布でエナメル質が再石灰化して、自然治癒することもあります。
定期的なフッ素塗布で虫歯予防が可能です。
シーラント
シーラントとは、歯の溝をプラスチックで埋める処置のことです。シーラントは白色なので、処置した部分も目立ちません。シーラントをすることで食べかすが歯に溜まりにくくなり、歯磨きもしやすくなるので、虫歯予防につながります。