歯周病とはABOUT perio
歯周病とは、口内で細菌が引き起こす炎症性疾患です。
口の中には数百種類もの細菌が住んでいます。通常はそのままでバランスが保たれているものの、歯磨きが不十分で汚れが蓄積したり、糖分を摂りすぎて細菌のエサが多くなった状態が続いたりすると、細菌は増殖して歯垢(プラーク)を形成します。
歯垢はネバネバと強い粘着性があり、細菌にとっては居心地のよい住処です。歯垢はうがいをした程度では簡単に除去できません。歯磨きでも落としきれずに放置すると細菌は増え続け、やがて歯肉などの歯周組織に炎症を起こします。
歯肉がぶよぶよしている、出血する、膿が出る、口臭がある、歯が揺れ動く、咀嚼に痛みがある、歯に物が挟まりやすくなった、などといった症状にひとつでも心当たりのある方は、歯周病の疑いがあります。
また、歯周病の患者さんの中でも、治りにくい方がいらっしゃいます。
当院ではその原因が口内だけでない患者さんの体質にあると考え、生活習慣の見直しと、東洋医学的立場から「養生」の指導をさせていただき、体質改善をしながら歯周病治療を行なっていきます。
患者さん一人ひとりの体質を見極め、それぞれに合った体質改善と治療法をオーダーメイドでご提案します。
歯周病が全身に及ぼす影響
全身疾患と歯周病の関係
歯周病は口の中だけの病気ではなく、全身のさまざまな疾患と関係があることがわかってきました。まだ充分に解明が進んでいない病気もありますが、因果関係が明らかになっているものもあります。
歯周病になると、細菌が生み出す毒素が炎症を起こした歯肉から血管に入り、全身へと運ばれます。この毒素が体の各所で起こる疾患の原因になることがわかってきました。また唾液中の歯周病菌を含む細菌は、呼吸器疾患の原因にもなります。
口内を清潔な状態に保ち、歯周病を治して再発を防ぐことは、他の病気の予防にも有効なのです。
歯周病と関連する疾病・トラブル
歯周病と関連があるとされている病気の一部をご紹介します。
誤嚥性肺炎
お年寄りや寝たきりの方がかかりやすい誤嚥性肺炎は、飲み込む力や入り込む異物を排除する機能が弱まり、歯周病の細菌が含まれる唾液を、誤って気管や肺に取り入れてしまうことで起こります。
関節炎・腎炎
虫歯菌・歯周病菌などの細菌は色々な毒性物質を作り出し、その悪い成分は血液中に入り込みます。通常は体の免疫機能によって毒性物質を排除しようとしますが、毒性物質が多い場合は、蓄積した場所でアレルギー性の免疫反応を引き起こします。毒性物質が関節腔に蓄積されれば関節炎に、腎臓の糸球体(血液をろ過して老廃物を尿として排泄する)で沈殿すると、腎炎を発症することがわかっています。
脳血管疾患・心臓疾患
循環器障害の多くは動脈硬化が原因となっていますが、歯周病の炎症がこの動脈硬化を促進することがわかってきています。体内に侵入した細菌を退治しているマクロファージ(白血球の一種)は、入り込んできた細菌を食べ、やがて死んで血管にへばり付きます。その血管の沈着部分に脂肪が蓄積すると、動脈硬化が起きます。歯周病菌は口内だけでなく血液中にも侵入し、マクロファージがその対応をするので、結果的に動脈硬化を促進しているといえます。
循環器障害の多くは動脈硬化が原因となっていますが、歯周病の炎症がこの動脈硬化を促進することがわかってきています。
体内に侵入した細菌を退治しているマクロファージ(白血球の一種)は、入り込んできた細菌を食べ、やがて死んで血管にへばり付きます。その血管の沈着部分に脂肪が蓄積すると、動脈硬化が起きます。
歯周病菌は口内だけでなく血液中にも侵入し、マクロファージがその対応をするので、結果的に動脈硬化を促進しているといえます。
またそれ以外にも、骨粗しょう症の方は、歯を支える顎の骨ももろくなっていることが多いため、歯周病になると進行が加速され、歯を失うリスクも高まります。
妊娠中はホルモンバランスの変化から歯周病になりやすく、悪化しやすいことがわかっています。歯周病菌の毒素が子宮内に到達すると、胎児の成長を阻害したり、陣痛促進作用がある特殊なタンパク質を作り出したりして、早産や低体重児出産などの妊娠トラブルを起こしやすくもなります。
歯周病の治療TREATMENT
歯周病を予防するための生活習慣改善
歯周病は歯周病菌が引き起こす炎症なので、細菌を減らすことが治療の中心となります。
しかし細菌の温床である歯垢を除去し、炎症が治まっても、再発することも多いのです。
特に糖尿病を患っている方は歯周病になりやすく悪化もしやすいといわれ、歯周病の悪化が糖尿病の悪化にもつながるという相互関係が認められています。歯周病自体が、糖尿病と同様に生活習慣病のひとつともされており、生活習慣を改善することが歯周病の予防にもなります。
その他にも、歯周病治療で大切なことを説明していきます。
適切なブラッシング
毎日の歯磨きで歯垢をしっかり除去することは、歯周病治療・予防でもっとも大切なことです。
歯や歯肉への歯ブラシの当て方、磨く際の力加減、磨き残しやすいポイントの把握など、適切なブラッシング方法を理解して実践することで、歯垢除去率は飛躍的に向上します。
禁煙
タバコを吸う人は、タバコを吸わない人に比べて歯周病になりやすいことがわかっています。また喫煙は、ニコチンの血管収縮作用等により免疫機能を阻害してしまうので、歯周病がより悪化します。歯周病を治すためには、禁煙が必要です。
定期的な歯科検診
歯周病菌の温床となる歯垢は、患者さんご自身による歯磨きで取り除くことが、歯周病予防につながります。
しかし歯垢は歯磨きで完全に除去することは難しく、磨き残しが歯石となって、歯磨きでは落とせなくなることもあります。噛み合わせの変化や全身の健康状態などからも、口内環境は影響を受けます。
定期的に歯科検診を受けていただくと、ご自身ではなかなか気づけない口内の異変に、早いうちに対処することができます。
歯周病や虫歯で痛みが出る前に、健康を保つための歯科検診を定期的にご利用ください。