「口腔から全身を診る、
全身から口腔を看る」Clinical concept
歯と口腔の関連性を考慮した治療
当院では、口腔から全身の健康状態を診断し、そこから患者さんに合った養生の指導をしています。
歯の病気を局所的に見て診察するのでなく、体全体の状態の中の一部分の症状ととらえて、治療に臨みます。
口腔の健康は全身の健康につながる
生活習慣の乱れや、疲れ・ストレスなど、全身の健康状態が変化したときのサインは、口の中に現れます。見落としがちなその変化を察知し、歯科治療と同時に全身の健康回復を図ることが大切です。
患者さん自ら、ご自身の健康について理解を深めることが、結果的に口腔内と全身の健康にもつながると考えています。
インフォームドチョイス
(説明と選択)INFORMED CHOICE
当院ではインフォームドコンセント(説明と同意)ではなくインフォームドチョイス(説明と選択)を重視しています。
医師が患者さんの症状を診断した結果を説明し、それに対する治療法を説明します。提示された治療方針に、患者さんが同意して治療を進めるという形です。
医師が患者さんの症状を診断した結果を説明し、それに対する治療法を説明し、選択肢をご提案します。患者さんは自らの体の状態を理解したうえで、ご自身でご納得いく治療法を選択します。
昨今医療現場では「インフォームドコンセント」という診療姿勢を打ち出しているところが多いと思います。
医師が患者さんに対し、説明をつくすことはもちろん大切ですが、それに対し患者さんがただ同意されるだけでは一方的で不十分だと、当院では考えています。当院では患者さんご自身の体に対する治療に対し、より能動的に関わってご自身で決めていただく「インフォームドチョイス」こそが大切であると考えています。診断に関する説明と治療法の選択肢について丁寧に説明させていただき、そのうえで患者さんがご自身で治療を選択されることがベストです。選択をするためには、患者さんがご自身の体質や生活習慣についても目を向ける必要があります。
ご自身の体と健康に向き合う歯科治療を、当院では重視しています。
東洋医学と西洋医学の融合した
融合した「統合医療」Integrative Medicine
小野田歯科医院では、歯科治療の前に患者さんの体質を東洋医学的に診断します。
患者さん個々の体質・病状に合った健康アドバイスを通じて、
患者さんが真の健康を手に入れることができるよう、お手伝いをしていきたいと考えています。
健康情報の発信基地となる歯科医院
1996年にアメリカの「サイエンス」という科学雑誌に、「口の中の細菌が原因となって肺炎や心筋梗塞を引き起こすことがある」という内容の論文が出てから、歯周病をはじめとする歯科疾患と全身の健康状態の関連性が、マスコミでも盛んに取り上げられるようになりました。近代歯科医学は西洋医学の分野ですが、当院では「全身はすべてつながっている」とする東洋医学の観点を取り入れ、日々の診療を行なっております。
患者さんにもその点を意識していただき、「なぜ自分は虫歯に、歯周病になったのか」と考えていただくことが、治療の第一歩だと思っています。日頃の生活習慣に目を向けて、客観的に分析し改善に取り組んでいただくことで、歯科治療の効果は高まります。
当院では「健康情報の発信基地」としての役割を果たすため、患者さんの参考になりそうな書籍の貸出なども行なっています。
虫歯や歯周病などの
歯科疾患の原因を、
当院では大きく
3つに分けて考えています
口の中の清掃が不良で、虫歯菌や歯周病菌の活動が盛んになってしまったもの
成長発育にともなう不正歯列や虫歯を放置したことが原因で、噛み合わせが悪くなってしまったもの
不規則な生活や偏った食事などに、現代社会特有のストレスが加わって、糖尿病・高血圧などといった生活習慣病からくるもの
東洋医学では病気の根本は人体の中にあるとされていて、ウイルスや病原性細菌が病気の原因であるとする西洋医学とは大きく異なります。上記に挙げた歯科疾患の原因のうち、一番目の原因菌の増殖を押さえることと、二番目の噛み合せを直すことは西洋医学である歯科医学で治療します。
しかし三番目の原因である全身状態からくるものに対しては、疾病の内因に迫り患者さんの自然治癒力を引き出すことによって解決する、東洋医学をはじめとする代替療法がもっとも適した治療法であると当院では考えています。
口の中の健康を保つために歯を磨くことは大切ですが、一生懸命磨いてもすぐ虫歯になったり、歯周病がなかなか治らなかったりすることがよくあります。「磨いている」と「磨けている」は大きく違うものなので、正しく歯磨きをすることはもちろん重要です。それでも朝から晩まで百点満点の歯磨きをすることばかり考えて、1日を過ごすのは気が重いですよね。ではどうしたらよいのでしょうか。
その答えは簡単です。
80点以上の歯磨きをしたうえで自分自身の体質を知り、全身の健康との関わりを理解して日常生活の問題点を改善していけば(東洋医学では”養生”といいます)、虫歯や歯周病は予防できます。もしあなたが生活習慣病にかかっているのであればそれを治す努力を、また病気の一歩手前(東洋医学では”未病”といいます)であれば、前兆を感じ取って病気にならないよう用心することが大切です。健康から未病を経て病気に移行するうえで、人間の身体はさまざまなシグナルを発します。本来動物である人間の持っていた身体の声を聴く能力は、文明が発達し生活の便利さを得ることと引き替えに徐々に失われてきました。同時に自らの身体を癒す自然治癒力も失われてきてしまったのです。今ここで我々が享受している現代文明の弱点を反省し、西洋医学の利点は生かしつつ東洋医学的思考を生活に取り入れていくことこそ、21世紀の健康法であると当院では考えています。
代替医療・統合医療の
確実な息吹
当院では歯科疾患の三大原因のうち、全身状態との関連からくるものに関しては、
患者さんの自然治癒力を向上させることが、対策として第一だと考えています。
そのため東洋医学をはじめとする代替医療を歯科診療に取り入れ、診療の効果を高めております。
JACT(日本代替・相補・伝統医療連合会議)の理事長である渥美和彦先生は、1954年東京大学医学部卒業後心臓外科を専攻され、1967年同大学教授に就任後、1989年に退官するまで、人工心肺装置を開発するなど西洋医学一辺倒でこられた方です。その後日本学術会議会員にもなられましたが、ご自分が長年取り組まれた西洋医学に限界を感じ、東洋医学をはじめとした代替医療への道を模索されました。
渥美先生は以下のように述べられています。
「近代西洋医学は、身体を臓器から細胞、たんぱく質、分子と科学的な方法を用いて細分化する要素還元主義に徹したために、生体を分子レべルで解析しその結果分子生物学、遺伝子学分子医学など多岐にわたって成果を挙げることができました。しかし生体はきわめて複雑なシステムであり、身体のみならず精神あるいは社会を包括し、全体としてとらえるべきものです。そこで解析は文化のみでは充分でなく、総合的に行なわれることを必要とします。」
私自身も同様の視点から、歯科分野で研究発表をしてきました。
「口腔乾燥症(ドライマウス)へのバイオファーメンティクスの応用」と題した研究では、歯科治療に応用しているバイオファーメンティクス(別名:乳酸菌生産物質。他の同名後発商品と区別するために新たに命名されたもの)と呼ばれる、乳酸菌類の共棲培養によって得られた機能性発酵代謝産物を、現代のようなストレス社会で増え続けている口腔乾燥症(ドライマウス)に応用して好結果を得たことを発表しています。
数ある乳酸菌生産物質と称される商品の中でも、バイオファーメンティクスは独自の研究機関を有し基礎・臨床とも研究発表を行なっている数少ないものです。後発品は「乳酸菌生産物質は優れたサプリメントである」という前提のもとに、臨床家に提供され応用されてはいるものの、裏づけとなっている理論はバイオファーメンティクスが先鞭をつけたものがほとんどだそうです。
このような研究発表と情報交換・発信が行なわれてきた日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)の設立後、2000年には日本統合医療学会(JIM)が設立されました。
その後両団体が統合して日本統合医療学会(IMJ)を2008年に設立、統合医療の普及・推進に尽力しています。
治療の軸の3本柱
「食・呼吸・睡眠」を整える
「健口術」Integrative Medicine
歯科医の私が30年以上の歯科臨床を経て、現在提唱している患者さんの健康を維持する上でのキーワードが「食・呼吸・睡眠」です。
臨床を始めてすぐに発症した肩こり・首の違和感が、鍼灸で治ったという自分自身の経験から、東洋医学に興味を持ち勉強をはじめました。現在は、全身はすべてつながっていると考える東洋医学などの代替医療の利点と、従来の西洋医学の利点を融合させた「統合医療」を歯科治療で実践しています。
「食」は、長年の臨床を通じ通常の歯科治療と併用する考え方として、東洋医学の食養生を学ぶことにより現代栄養学を見直しました。また、自給自足ができない現代人にとって足りない栄養はサプリメントで補うべきだと考えて、2000年以上前の仏教経典を起源とする東洋医学的サプリメントである乳酸菌生産物質(生源)をおすすめしています。
「呼吸」は、「調身(身を整え)・調息(息を整えると)・調心(心が整う)」の理念の下、口呼吸から鼻呼吸に改めたうえで、細く長く吐く息を7割、残りの3割で息を吸うという、腹式の基本呼吸をお教えしています。
最初のうちはなかなか上手くできない場合が多いため、音楽に合わせて自然と深く呼吸ができるようなCDもご紹介もしています。
またメディカルパタカラという器具を用い、口呼吸を改めるために口の周りの筋肉を鍛える、口腔筋機能療法も取り入れています。
そして「睡眠」。人生の3分の1を占める大切なものです。
特に良質な睡眠を得るためには、脊柱に掛かる負担を減らし、睡眠時の姿勢を楽にすることが必要です。そのためには、身体に合った枕を使用することが重要となります。
当院では、顎関節症や歯ぎしり、喰いしばりなどの噛み合わせに問題のある方や、いびきなどの睡眠時無呼吸症候群患者さんはもちろんのこと、噛み合わせに問題のない患者さんにも「良質な睡眠が免疫機能をアップさせる」という基本概念のもと、健康維持を目的として、体に合った枕の使用を指導しています。
古くから「医食同源」という言葉がありますが、食べることと同じように睡眠も大切ですから、「医寝同源」ともいえるでしょう。
このように、口と大きく関わる「食・呼吸・睡眠」という3つのキーワードは、すべてにおいて密接な相関関係にあります。それをよりわかりやすく図式化したものが下記の図です。
美味しいものを食べたときの幸せを表すものに「口福」という言葉がありますが、転じてこれは口を健康にすると幸福になれる、すなわち「健口」につながることになると考えています。