統合医療による
体質診断と歯科治療Diagnosis and treatment
当院では東洋医学的体質診断で患者さんの状態を把握し、
低周波ツボ治療、呼吸法、アロマテラピー、音楽療法を取り入れた、
痛みの少ないリラックスできる診療を行なっています。
「統合医療」とは
小野田歯科医院で行う
「統合医療」による治療TREATMENT BY "INTEGRATED MEDICINE"
痛みの少ない
治療鍼を使わない低周波ツボ治療
歯科治療には、削る・切る・抜くといった治療行為から、どうしても「痛い」というイメージが付きまといます。そこで歯科分野ではこれまで、痛みを取り除くペインコントロールを目的に、東洋医学の分野から「鍼麻酔」を主体に取り入れてきました。ただ除痛目的とはいえ、先の尖った鍼を使用することへの抵抗も考慮し、当院では経穴(いわゆるツボ)に低周波通電するTEAS(Transcutaneous Electrical Acupuncture-point Stimulation)を使用しています。
TEASには、ポインターメディカル社の機器を使用しています。
歯石を取るスケーリングのときには、手の甲にある「合谷/ごうこく」に、顎関節症の開口障害緩和のためには、顔の「下関/げかん」と「頬車/きょうしゃ」に通電することなどがあります。
また嘔吐反射の強い患者さんの印象採得(歯や歯槽堤の型取り)には、喉元の「天突/てんとつ」を押して、左右の耳の後方にある「完骨/かんこつ」に通電し、嘔吐反射を抑えることにも使用しています。
乳酸菌生産物質を使用した
歯科治療と体質改善
乳酸菌自体については広く一般にも知られるようになり、摂取を心がける方が増えてきたように思います。
この乳酸菌が作り出す物質「乳酸菌生産物質」は、私たちの健康に影響を与えるものです。
乳酸菌生産物質の歴史をたどると、古くは2500年ほど前の仏教経典である「大般涅槃経」の中に「醍醐(だいご)」という名前で登場します。そこには「醍醐は最上最妙なり。若能く服するあれば、衆病悉く除く。一切の諸薬は悉くその中に入る」と述べられています。
この経典には醍醐の製造過程もあり、それによると「牛より乳を出し、乳より酪を出し、酪より生酥を出し、生酥より熟酥を出し、熟酥より醍醐となす」と書かれています。酪とはチーズ・バターであり、生酥とはヨーグルトのことです。
この醍醐は、仏教の伝来の過程と少なからず関係があるのではないかと考えます。
インド北方で悟りを開いた釈迦によって生まれた仏教が、シルクロードを通って中国に伝わったように、シルクロードを行き来する人々が、動物の胃袋や皮でできた水筒に入れ持ち歩いた乳(牛ではなくラバやヤク、ラクダかもしれません)が、暑い砂漠や高い峰々を越えるうちに変化し、最後に残った物質を摂取したところ、万能薬の役割を果たすことを経験的に知ったのではないでしょうか。
チベット密教医学や、シルクロード西方の中近東のユナニ(イスラム文化圏の伝統医学)などにも、この乳酸菌生産物質と同様の概念が存在します。
また余談ですが、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の注釈には、主人公のジョバンニが迷いから悟りに至る精神的過程を牛乳にたとえ、醍醐こそ至極であると述べられています(銀河はミルキーウェイ=乳の道、でもありますね)。
我が国では今から100年ほど前に西本願寺派・第22世門主の大谷光瑞さんが、この「大般涅槃経」に書かれてある「醍醐」を発見し、細菌学者・正垣一義先生とともに大谷光瑞農芸化学研究所を設立して、近代的な研究を開始しました。
当院で使用している乳酸菌生産物質は「生源」といい、12種類の乳酸菌と4種類の酵母菌を、豆乳を培地に1mlあたり50億個以上に達するまでに共棲培養した上澄み成わからなります。
乳酸菌生産物質には、発酵によって生まれる乳酸や脂肪酸、アミノ酸、ビタミン類が活性された「乳酸菌分泌成分」と、活性型の大豆イソフラボンやペプチドなどの「大豆由来成分」とが含まれます。また共棲培養中の沈殿物質は、大豆由来成分のほか「菌体成分」を含んでいて、その発酵を終えた死菌体そのものにも有用性が認められています。
共棲培養で得られた乳酸菌生産物質と沈殿物質の総称を、「生源」の製造元である株式会社エイ・エル・エイでは、「バイオファーメンティクス」と呼んでいます。生源つまり乳酸菌生産物質には「五臓」の乱れを調整する能力があります。理化学研究所から引き継いだ生源の基礎研究をエイ・エル・エイ中央研究所が進め、免疫機能調整作用・サイトカイン産生誘導能・腸内環境改善作用・創傷の治癒促進効果があることなどが、学会発表されています。
このことは、「五臓」を健康に保つ根本は腸内環境にある、とする東洋医学的考察を、西洋医学的に裏付けるものと考えられます。
私がこの乳酸菌生産物質を歯科領域に応用した経験をまとめ、日本歯科東洋医学会に発表したのが2000年ですから、既に20年近くも前のことになります。これは歯科領域において、日本で初めての乳酸菌生産物質の学会発表となりました。それ以降、乳酸菌生産物質の研究発表を日本歯科東洋医学会には4編、日本統合医療学会には7年連続で発表しています。
現在、乳酸菌生産物質の歯科応用としては、先に挙げた体質改善だけではなく、
(1)歯周病菌・虫歯菌抑制の一助
(2)舌痛症の緩和
(3)抜歯後の治癒促進
(4)口内炎の疼痛緩和
(5)口腔内不定愁訴の改善
などの事例に活用し、患者さんから好評を得ています。
不安や緊張を緩和させ
リラックスした治療のための
アロマテラピー(芳香療法)/音楽療法
当院ではホリスティック医学の考え方に則り、患者さんが不安を感じずに痛くなくリラックスした状態で治療を受けていただけるように配慮しています。
その方法のひとつが、アロマテラピー(芳香療法)です。芳しい香りによって、心が和んだり反対にシャキっとしたりすることがあります。
視覚・聴覚に比べ、嗅覚は脳に直接働きます。香りの信号が脳に直接作用して、その心地よさでストレスを緩和し、免疫力や自然治癒力を高め、身体を健康へと導くのがアロマテラピーの概要です。
歯科治療において、香りに対する個々の好みには対応はできませんが、当院では長年の経験により以下のエッセンシャルオイルをブレンドして診療室に漂わせております。
ベルガモット=気持ちを冷静にしてリフレッシュさせます
シダーウッド=緊張を取り、体の機能回復をはかります
ユーカリ=消毒効果が高く、特に呼吸器系に有効です
ヒノキオイル=爽やかな森の香りで森林浴と同じ効果です
サンダルウッド=漢方薬やインド医学でも使用されます
音楽療法は、ストレスが原因とされるさまざまな病気が存在する現代社会において、注目を集めている治療法です。単に身体のストレスを緩和するだけでなく、医学的に精神治療・心身症などの心の病気の治療にも用いられています。
歯科医院においても、何かと不安がつきまとう歯科治療の際に患者さんの緊張をほぐしたり、不快な音を消すマスキング効果として用いられています。
音楽を聴いて心身がリラックスすることには、1/fという周波数のリズムが大きく関わっています。この1/fという周波数のリズムを持つ音楽が人間の脳に作用することによって、「α波」や「β波」と呼ばれる脳波を出します。α波やβ波は、座禅や瞑想などの際にも見られる脳波の状態で、不安や緊張の無い、深くゆっくりとした呼吸をともなう、もっともリラックスした状態です。
1/fのリズムの音を聞くことにより大脳が刺激され、自律神経と呼ばれる交感神経・副交感神経のバランスがとれ、筋肉の緊張がほぐれて心の緊張もほぐれます。1/fのリズムは自然界にも存在し、せせらぎの音、そよ風に揺れる木々の音、小鳥のさえずり、波の音などが、この1/fのリズムをもつといわれています。
当院では音響システムにBOSE社のAWMを用いて、1/fのリズムを含む厳選した音楽を診療室に流しています。
リラックス指導
緊張した状態で治療を受けると、痛みを感じやすくなります。そこで当院ではリラックス指導として、呼吸法の指導をさせていただくことがあります。
治療への恐怖や不安で体が縮こまってる患者さんには、まずは背中をまっすぐに伸ばしていただきます。そして手を上向きに開いて、深くゆっくりした呼吸を繰り返していただきます。こうした呼吸指導によって体から過度の緊張がとれると、心も落ち着き、心身ともにリラックスした状態になります。東洋医学では「調身・調息・調心」と言い、「身を整え、息を整えると、心が整う」という意味です。
リラックス下においては、痛みに対する感度も柔らかくなります。
舌診を利用した体質診断で
養生指導
舌診(ぜつしん)とは、舌の色・形・潤いや、舌苔(ぜったい)の色と厚さを見ることで全身の健康状態を診断する、東洋医学(中医学)の診断法のひとつです。
医学の父とも呼ばれた古代ギリシャのヒポクラテスも、「舌は身体の鏡である」と言ったと伝えられています。またインド医学のアーユルベーダにおいても、舌は重要な診断要素となっています。
病気の原因は身体の外にあるとする近代西洋医学とは異なり、東洋医学では身体の中に原因があると考えます。
当院では歯科治療に入る前に、患者さんの体質を「気」「血」「水」「熱」の4つのキーワードに分け、それぞれの過不足からくる体質をさらに8分類したうえで、歯科治療の方法やタイミングを患者さんごとに変えています。
また、患者さんに現在の体質を知っていただくことで、体調の自己管理がしやすくなり養生にも活かせます。ご自身の健康観を見直していただくことにもつながります。
舌診を利用した体質診断で、歯科治療だけでなく、患者さんの全身の健康管理につながる養生指導をさせていただきます。
口腔筋機能療法
リップストレッチメソッド
今あなたの舌の先は、口内のどこに触れていますか?
舌先が上の顎の前歯の歯肉に触れていれば大丈夫です。
もし舌の先が下の歯の前歯の裏に触れていたら、普段から口呼吸をしている疑いがあります。口呼吸の方で夜中にいびきをかいている方は、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、重大な健康障害を起こす危険があります。
口の周りの筋肉が弱いと、口を閉じる力も弱くなり、睡眠時はもちろん日常生活の時でさえ、鼻呼吸できずに口をポカーンと開いた口呼吸になってしまいます。口呼吸で口内が乾くと、虫歯や歯周病、口臭、いびき、喉の奥の炎症をまねきます。また口呼吸はアトピーの原因のひとつでもあると考えられています。
当院で指導をしている口腔筋機能療法では、唇や舌の各種運動の指導だけでなく、メディカルパタカラという器具を使用した機能訓練も行なっています。
表情筋や舌のストレッチを行なうことで、アンチエイジング改め、ヘルシーエイジング効果が高まります。
口腸免疫健康法
当院では、歯科疾患のうち全身状態との関連からくるものに関しては、患者さんの自然治癒力を向上させることをまず第一に考えています。そのため東洋医学をはじめとする代替医療を歯科診療に取り入れ、治療の効果を高めています。
特に免疫力が落ちている場合には、今話題のプロバイオティクス・プレバイオティクスの一種である「乳酸菌生産物質」を摂取していただくことで、大腸内の環境を整えて免疫力をアップさせます。
患者さんにおすすめしている「生源」というサプリメントは、大豆タンパクを培地にして16種類の乳酸菌をはじめとする有用菌を共棲培養し、その結果産生された有効産物を用いています。この生源は大腸内で、液性免疫物質であるIgA抗体を産生することが、ラットを使った実験で明らかになっています。
IgA抗体は腸管の他、体の粘膜部分すべてで分泌されていて、喉の奥や鼻粘膜でも分泌されています。喉の奥にはワルダイエルの口峡輪と呼ばれる扁桃組織があり、気管や食道などに異物や病原性細菌・ウイルスなどが進入しないよう、咽頭扁桃・口蓋扁桃・舌扁桃などが、環状の関門を作ってIgA抗体を分泌しています。
ところが、せっかく腸内免疫を向上させる生源などの物質を摂取してIgA抗体の産生が増加しても、口呼吸によってワルダイエルの口峡輪の粘膜が乾燥すれば、免疫物質であるIgA抗体は分泌されず、本来の役割を果たせなくなってしまいます。
そこで当院では、口内免疫と腸内免疫の併用である「口腸免疫健康法」によって、患者さんの免疫力を高めることを提案しています。
生源などのサプリメントを摂取して腸内免疫の向上を図っている方には、その効果をさらに高めるために、口唇体操器具である「パタカラ」を併用していただき、口内免疫の向上も図るように指導しています。
食・呼吸・睡眠を整える
当院では、全身はすべてつながっていると考える東洋医学などの代替医療の利点と、従来の西洋医学の利点を融合させた「統合医療」を実践しています。そこで提唱している患者さんの健康を維持する上でのキーワードが「食・呼吸・睡眠」です。
- 食
「食」では、東洋医学の食養生で現代栄養学を見直し、現代人にとって足りない栄養はサプリメントで補うべきだという考えから、東洋医学的サプリメントである乳酸菌生産物質(生源)をおすすめしています。
- 呼吸
「呼吸」は、「調身(身を整え)・調息(息を整えると)・調心(心が整う)」の理念のもと、口呼吸から鼻呼吸へ、そして細く長く吐く息を7割、残りの3割で息を吸うという、腹式の基本呼吸をお教えしています。口の周りの筋肉を鍛えるための、口腔筋機能療法も有効です。
- 睡眠
「睡眠」を良質なものにするためには、睡眠時の姿勢を楽にすることが大切なので、当院では身体に合った枕を使用することをおすすめしています。
美味しいものを食べたときの幸福感を「口福」と表現したりしますが、口を健康にすると幸福になれると考え、
当院では患者さんの「健口」をともに目指していきたいと考えています。